LACRIMOSA ASIA TOUR 二日目 @ 梅田・ am Hall

 奇跡はまだまだ続いてまして、LACRIMOSA二日目、今度大阪です。ティロ様のためなら地の果てまでも(ただし諸々の事情によりせいぜい日本国内限定)、とばかりストーキングしてきました。

 前日のセットリストをiPodにブチブチ込み、延々聞きながら新幹線で大阪へ。梅田のこちゃこちゃした町並みの中を若干迷いつつも、開場一時間前頃無事にホテルに到着。と、そこで何か見覚えのある人を発見。おや? あれは下手側のギタリストさん(昨日開場前に握手してくれた紳士)ではないかしら。……と思いつつも日本人の悲しさ、似た別の外人さんと区別が付いていないだけかもしれず、また開場時間も迫っているこんな時間にメンバーが未だホテルにいるはずもなく、というわけで、チキンの私は声をかけて確かめることもできずじまい。チェックインして昨日買ったTシャツに着がえ、サインしてもらうためのCDを持ち、ホテルの近くにあったLOFTでサイン用のペンを買い、これで準備は万端、会場へ。

 パチンコ屋の上にある会場には開場10分前ぐらいに到着。と思ったら、なにやら準備に時間がかかっているとかで開場が45分遅れると知らされた。ちょっとその辺に出てたこ焼きか何か食ってきてもよかったのだが、開場に先立って物販がセッティングされ始めたりしていたのでそちらが気になって(昨日一通り買ったつもりではあるが、もし新しいブツでも出てたら買わなくては)やっぱりその場にいることにする。で、ついついその場にいたお客さん相手に昨日の中島店長ばりにCDの解説をしたりとかしてしまう。思ってた以上にLACRIMOSAに詳しいな俺。マニヤですね。キモイですね。
 勝手に出しゃばってるのもキモイのでそういうのはそこそこにし、その辺の壁際に後退して適当に待っていると、徐々にスタッフが辺りをうろつき始めた。と、その中に見覚えのある姿が。あれはさっきホテルで見たギタリストさん(推定)と一緒にいた外人さん! やっぱり例の彼は彼で、そうするとバンドは私と同じホテルに泊まってるんだろうか。どどどどどうしよう。嬉しいというよりも降って湧いた偶然にどうしていいかわからず、無駄に緊張してきてさる高貴な御方ほか数名のお友にメールなどして心を落ち着けようとする。すると「何も特別なことはないし常識的に追っかけすればいい」との回答が。うむ、なるほど。落ち着いた。たまたまホテルで会えたらラッキーぐらいの心持ちで行きます。
 そんなことをしてるうち、中でリハーサルが始まった。開演前に「Schakal」をフルで聴けて大変得した気分です。
 あと、昨日買ったエコバッグを提げていたのが目に止まったらしく、日本人スタッフの方に「東京から来られました?」とか聞かれる。「ありがとうございます」と言ってもらったけど、その台詞はそっくりそのまま全力で投げ返させていただきたい! 呼んでくれてこちらはもう感無量、夢を叶えてもらっていくら感謝しても足りません。

 きっちり45分遅れで開場。昨日と比べるとびっくりするぐらい広い。ステージ広いし、天井高いし、柵もある。事前の腹積もりでは「東京は前、大阪は後ろで」などと小賢しいことを考えていた私だが、この広さを見てついテンションが上がり、結局一番前のアンヌ付近に猛然と突撃してしまう。
 ステージを改めてじっくり見てみると、ちゃんとでっかいピエロのマークのバックドロップはかかってるし(昨日はプロジェクターでスクリーンに写真が映っているだけだった)、ドラムセットのところには大きな旗だって二本立っている。おお、なんかちゃんとしたステージになってる、と嬉しくなった。嬉しさのあまりまたしても他のお客さんの会話に口を出すなどというチキンの私としては暴挙に等しい行動に出、話し込んで仲良くなる。

 19時15分頃照明が落ち、「Lacrimosa Theme」と共に開演。曲目は昨日とほぼ同内容だが、時間が押していたせいか1曲目の「Die Sehnsucht in Mir」だけカットされ、「Alleine zu Zweit」からとなっていた。曲は違えど最初ティロ様出てこない演出は同じ。
 昨日よりも会場がだいぶ広いのと逆に観客は少なく、さすがに昨日ほど盛り上がりは良くなかったが、さすがベテランの一流バンドと言うべきか、昨日と遜色ないどころかより格好良いパフォーマンスを見せてくれた。音も昨日より良かったし(昨日は機材トラブルもあったし)、照明も効果的に使われていた。ギタリストの二人は窮屈さから解放されたか多少よく動いており、「Stolzes Herz」では前で並んで弾く二人の背後からティロ様が長大な旗を振るというまことに涎ものの光景が見られた。広い場所を存分に活かした華のあるステージで、これがLACRIMOSAのライヴの真価かと深く感動した次第。テイストの違うライヴを二回見ることができて、やはり大阪まで遠征してきてよかった。

 終演後はスタッフが片付けに来るまで前で粘り、昨日は逃したセットリストを入手。ちゃんと「Die Sehnsucht in Mir」が消してあるし、「Senses」は「Krasnodar」と書き換えてある。いかにも今日の記念っぽくて嬉しい。ただ後で他の人のもらったやつを見せてもらったら、ギターのコードとかがたくさんメモってあるのもあったみたいで、たいへん羨ましかった。
 握手会では持参した「Sehnsucht」限定盤のブックレットと、そのセットリストにサインしてもらった。「また日本に来てね!」と言ったら「I try to」という微妙な返答でしたけれど、「二日とも見たんです!」と言ったら褒めてくれたし笑ってくれたのでよかった。昨日の無愛想はなんだったんだ。疲れてたのかしら。

 その後、さっき仲良くなったお客さん(三人組)が「良かったら飯でも」と誘ってくれたのでほいほいついて行く。その名も「MIDIAN」というメタルバーがあるというので期待して行ったら果たしてその期待通りで、暗い店内にCRADLE OF FILTHのファブリックポスターが飾られ、ピーター・ベストの「NORWEGIAN BLACK METAL」の写真集があり、奥のスクリーンではSEPULTURAが放映されているという実にもって落ち着くことこの上ない店だった。我々がLACRIMOSAのライヴ帰りだと知って「Live History」のDVDなんてかけてくれる(よく持ってたな)。メニューも明らかにメタルが意識されていて「サタン」だの「ギロチン」だのという銘柄のビールが置いてあるし(普通に美味しかったです)、焼酎は「鬼火」や「魔界への誘い」といった具合。そんな環境でピザなどぱくつきながら酒を飲みメタル話に興じる我々。「こんなところで落ち着くなんてお互い変態ですね」「メタルを聴いてメタル話をしながら飲む酒は最高にうまいですねえ」「もう数年来の友人のようだ。話していてまるで違和感がない」などとすっかり意気投合。そのうち終電が近くなったので、連絡先を教えてもらい、再会を約して別れました。いやあ、楽しかった。いい店教えてくれてありがとうございました。

 そしてホテルに帰るとこれまた偶然。入り口の階段のところで見覚えのある後ろ姿が。さっき開演前に声をかけてくれたスタッフの方が煙草を吸っていらっしゃる。向こうも顔を覚えていてくれていて、しばらく話し込む。やはりメンバーもスタッフも全員ここに泊まっているらしく(なんたる偶然か!)、明日は朝10時にロビーに集合して出発する予定なんだそう。「その時間にいれば会えますよ」と言ってもらえ、これは待ち伏せするしかない。その他にも、いろいろ裏事情が聞けてたいへん興味深かった。

 さて翌朝。9時半にロビーへ降りて行ったら、昨日も会ったギタリストの紳士が一人でパソコンなどいじっていらっしゃる。「ヘロー」などと言って話しかけ、エコバッグにサインをいただいた。今のところ下にいるのは彼一人だけのようなのでしばらく待っていると、今度は日本人スタッフらしき方が来て、さっきの彼に話しかけたりしている。そこでちょっとその方にも話しかけてみたところ、またいろいろと裏話が聞けて面白かった。
 結局皆が降りて来だしたのは11時前ぐらいになってからで、早く降りて来いよとやきもきするスタッフの方を尻目に私はメンバーを一人ずつ直撃、順番にエコバッグにサインをいただいた。ティロ様とは横に座って「東京も大阪も観ました!」「どこに住んでんの? 東京? 大阪?」「東京です」「今日このためだけに来たの?」「ええもちろん」「クール!」などといった会話を交わし、一緒に写真を撮ってもらい(アンヌがシャッター押してくれた!)、「アンヌとも撮るかい?」と今度はティロ様がシャッターを押してくれ、もういつ昇天してもおかしくない幸せ。私服でもお二人は当たり前のように美しく、ティロ様はなんかお香みたいなエロくていい香りがしました。
 見送ろうと車が出るのを待っている時には、バンドメンバーとだべっていた上手側のギタリストの方がわざわざ抜け出して隣に座りに来てくれ、「なんていい人なんだ」と感激した。野球の話できなくてごめんなさい。一方、スタッフの方も余ったポスターをくれたりピックをくれたり気を遣ってくれ、メンバーもスタッフも本当に親切にしてくれて申し訳ないぐらいでした。
 最後、出発の時には車に乗り込んだティロ様とアンヌがわざわざこちらを向いて手を振り大きな声で「Bye!」と言ってくれて、もうね、感激としか言いようがないです。こんな風に二人と話ができるなんて、文字通り夢に見た光景ではないですか。

 そして胸一杯に幸せを抱え込んだ私は、阪急地下のインデアンカレーで昼飯を食って大阪を後にしたのでしたとさ。最初間違って姫路方向の電車に乗ってしまったのは内緒です。


HOME PAGE : 鈍ヒ羊