THULCANDRA「FALLEN ANGEL'S DOMINION」

tawachi2010-06-12

 OBSCURAのリーダー、ステファン・クーメラの別バンドのデビュー作。アルバムのラストにはDISSECTIONの「The Somberlain」のカヴァーを収録、ジャケはネクロロード作の青い死神、オリジナル曲のタイトルは「Night Eternal」だの「Frozen Kingdom」だの……で、やってることはまんま1st〜2nd当時のDISSECTIONのエミュレーション。「The Somberlain」のカヴァーからして原曲の雰囲気を完全再現、 DISSECTIONへの傾倒がこれでもかと窺える出来だが、オリジナル曲のDISSECTIONっぷりもまた凄い。全体に籠りながらも絶妙な奥行きのある音作り、不穏な響きでハモるツイン・ギター、バタバタ気味なところが寒さと速さを一際増すブラスト・ビート、アコースティック・パートの切なくも美しい音色、そして邪悪なメロディ・センス。全てにあの偉大なバンドを端から端まで再現しようという気合が漲っている。そして実際、その実力はとうにOBSCURAで証明されている人だけあって、再現度や完成度はかなりの線まで行っている。一部にあまりにも元ネタが露骨な箇所もあるが、それすらも含めて、DISSECTION信者はその心意気に涙がちょちょ切れること必至だ。「DISSECTION系」は数あれど、これほどまでにDISSECTIONっぽさを一途に追究したバンドはこのTHULCANDRAだけだろう。是非ジョンの霊前に捧げたい作品。

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