DRAGON GUARDIAN「DRAGONVARIUS」

tawachi2009-06-07

究極のクサメロを追い求めるメロスピの求道者・勇者アーサー(職業:勇者)率いる同人メタル・プロジェクトの、なんとメジャー・デビュー作となる3作目。基本的にはRHAPSODYを嚆矢とする剣と魔法とドラゴンのくっさいRPGメロディック・スピード・メタルの典型(ヴォーカルは女性)なのだが、このDRAGON GUARDIANの場合その臭さが半端ではない。まずメロディそのものからしていかにも日本人的(アニソン的)な臭さを発散しているが、特に臭さを際だたせているのはRPGであればムービーシーンにあたるであろう台詞(というか寸劇)の多用だ。陳腐きわまる言い回しと怪しい文法で長々と展開されるアニメ声の掛け合いは背筋が寒くなるほど恥ずかしく、ちょっと人前では聴けないほどだが、それだからこそハマると抜け出せない異様な魅力を持つ。そんな小道具も駆使しつつ、なりふり構わず臭さとドラマティシズムの追求に徹する姿勢から生み出された濃密な世界観は圧巻の一言で、曲の出来や演奏の良さもあって背筋を寒くしながらもつい何度も聴いてしまう。難を言えばドラムが打ち込みであるためにダイナミズムに欠けるきらいがある点だが、それもゲーム的と考えれば世界観にはマッチしているか。思えば恥ずかしさを物ともせずRPG的メタルを打ち出してきたRHAPSODYの登場はなかなかの衝撃だったが、このDRAGON GUARDIANは、オタク的感性の本場・日本からの「どうせやるならこれぐらい臭くしてみろ」という意図の込もった返歌なのかもしれない。

HOME PAGE : 鈍ヒ羊