1349「REVELATIONS OF THE BLACK FLAME」

tawachi2009-06-03

ノルウェーの誇るブラスト神が一柱、フロスト様を擁するブラック・メタル・バンドの4作目。フロストの超絶ドラミングを前面に押し出した情け容赦ないファスト・ブラックを以前より志してきたバンドであるし、フロストのもう一つのバンドであるSATYRICONがすっかり速さへの志向を捨ててしまっていることもあって、この1349にはブラスト全開のフロスト様を余計に期待してしまうのが人情というものだが、今回のアルバムにはそうした向きにとってはがっかりものかもしれない。なにしろアルバム中半数がSEを多用したよくわからないどろどろした曲で、ブラック・メタルとしての体をなしていない。まともな体裁の曲もスロー〜ミドル・テンポ中心で、速いパートはほとんどなく(2箇所ぐらいか?)、およそアルバムを聴いていて、以前のような爽快感というものは得られない。いわばMAYHEMなら2ndのポジションに位置づけられる作風か(乱暴すぎるが)。だがその分、作品の病気度、全体に込められた粘着質の怨念の量は一番である。前作がその名の通り地獄の業火を表現しているとすれば、今作から感じられるのは地獄の瘴気。腐って膿の垂れた傷口の臭いを嗅がされるような、嫌な湿り気を存分に味わえる。速さを求める人にはそっぽを向かれるだろうが、これはこれで素晴らしい邪悪さを湛えた作品。


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