Versailles「NOBLE」

tawachi2008-07-26

 ヴィジュアル系人脈の方々による様式美メタル・バンド、待望の1stフル。ヒラヒラかつキラキラに決めた勘違いおフランス風のお耽美衣装や、「薔薇の末裔」というよくわからないコンセプト等は紛う方なきヴィジュアル系のそれ(というか、今やヴィジュアル系の中でもここまで濃くやっているバンドは少ないのでは?)だが、その音はといえば意外なほど高度な演奏技術に裏打ちされた、本格志向の様式美/メロディック・スピード・メタル、それもかなり上等のやつである。随所にオケヒやピアノなども導入しつつ徹底して大仰に劇的に作り込まれた曲展開、むやみに充実した器楽面は、海外のその手の一線級と比較しても何ら引けを取らないレベル。特に、多くの曲で長くフィーチュアされたインスト・パートでは鳥肌もの展開が目白押し。その上でヴォーカルは日本特有のキャッチーさを備えた憂いのあるメロディをなぞっており、この手のメロスピ・バンドの中にあって独特の個性を醸し出している。骨格ははっきりとメタルでありながら歌メロはキャッチーな歌謡曲風、というパターンはかのXを彷彿させるし、実際デビュー曲といえる「The Revenant Choir」などはリズム・パターンから節回しから展開からXそのもの(わざととしか思えないが)だったりするが、しかし全体としては単なるXの模倣にはとどまっておらず、デス・メタルメロデス、あるいはRHAPSODY以降の流れをきっちり押さえた現代的なメロスピとして再構築しているのがポイント。これは陰陽座と並び、日本の若手メタルバンドとして世界に誇れる存在ではないかと思う。

HOME PAGE : 鈍ヒ羊