LOUD PARK 07 @ さいたまスーパーアリーナ・二日目

ラウドパークが終わってしまいました! あーあ。楽しかったな。

■寝坊■
 朝はっと目覚めると9時半! やばいやばい始まっちゃうわ、と急いで支度してたまアリへ。いや、家が近くて本当に良かった。
 会場に着くと(水の持ち込み成功ざまあみろというのは内緒ですよ)、既にAMORPHIS目当ての猛者共がステージ前柵付近に群がっていて、確保できた場所は前から2列目。ま、いいか。

■ALL THAT REMAINS■
 30分ほど待ったところで隣のステージにてALL THAT REMAINSが開始。演奏上手いらしいというのはちらりと耳にしていたけれど、いやこれは凄え。全員が巧者だけど特にしかめっ面して叩き続けるドラムの手数足数が異常なことになっている。曲ももともと出来がいいが、やたら上手い演奏のおかげで叙情度も攻撃度も十割増ぐらい。一時期は今回のラウドパークに対し「またメタルコアか? もうリメインズリメインズうっせーよ」ぐらいの勢いだったけれど、そんな十把一絡げにしていた自分に猛省を促す。ステージングも実にアクティヴで手慣れているし、他の多くのメタルコア勢と比べても明らかに格が違う感じ。ヴォーカルの人のやみくもなまでの肉体美と乳首ピアスもイカス。

■AMORPHIS■
 そして待ちに待った我らがAMORPHIS! 10年ぐらい前、未だメロデスだった頃の彼らの初来日公演には行っていないのだが、キーボードを前面に出してその他の楽器の不備を押し隠すようななかなか素人臭いショウだったそうな、当時のブルルンによれば。で、さて10年が経過し既にベテランと言って差し支えなくなった彼らはどうでしょうかと不安も少し混じりつつわくわく。
 蓋を開けてみればもうすっかり熟練者揃い、風格すら漂うライヴでしたとさ。前作から加入したヴォーカルは、小柄ではあるけれど身長の半分ぐらいあるドレッドを縦方向の激しいヘドバンで派手に振り回し、翅を広げて大きく見せて威嚇するオオカマキリばりの増量作戦で迫力のある見映えを獲得する。バックの演奏陣の堂々たる弾きっぷりも見応えあり。肝心の歌、それに演奏の中身もかなりしっかりしていて音質も良く、まさにアルバム通りだった。このヴォーカル。前任者と比べても何の違和感もない声質、しかも余計に上手い。本当にいい人見つけたもんだと思う。
 選曲はやはりここ2作からの曲が中心ではあったけれど、「ELEGY」からも「On Rich And Poor」と「My Kantele」という二大名曲をやってくれて感激。特にこの季節にオレンジの照明の下で聴く「My Kantele」には本気でうるっと来た。どうせなら2ndあたりのずるずるべったりうんこ臭い曲もやって欲しかったが、まあイメージ違い過ぎてできないのかもなあ。
 そんなわけで、こんな良いバンドを10年もほったらかしにしていた糞ビクターの糞担当は腹を切ってバンドおよび全国民に謝罪すべきだと思います。そんで今すぐフルの来日公演30回ぐらい組め。

■ANDRE MATOS■
 AMORPHISでとりあえず満足しきったので(いや長さに関してはもちろん不満ですよ)、次のANTHEMは英三のシャウトがすげーなということを確認しただけで済まし、あとは昼飯。タコスを買って食ったり、ESPのブースでSATYRICON のサイン会の整理券をもらったり。
 客席に戻ると何かタキシードみたいな変な服着たおっちゃんがメロスピやっててはてこれは何でしょうとよく考えてみるとアンドレ・マトスさんでしたそうでした。なんかあの服装にはただの名前をぐるっぐるの飾り文字にした彼のバンドロゴと共通する中二病的恥ずかしさがあって、それがまたいかにもメロスピという感じで生暖かい笑みが浮かんできて大好きですアンドレさん。メロスピ、いやさメタルは恥ずかしくてなんぼですから。
 ANGRAの1stとかは結構懐かしいので、その辺の曲やってくれるといいなと思いつつ座ってじっくり聴いてみる。「Nothing To Say」の後、あれ何かこれも聴き覚えがあるけどANGRAとかじゃねーなと思ったらJOURNEYの「Separate Ways」でした。なんでJOURNEY。ひょっとしてあれですか、ANGRAとは別れてしまいましたけどYou know I still love youでTrue love won't desert youってわけですか。あの声なもんで原曲の繊細さはまるでなかったけど、まあこれはこれでかっこいいっちゃかっこいいか。その後「Angels Cry」からメドレー形式で皆さんお待ちかね「Carry On」へ。このライヴの最初の方では高音が出ていなくて「いきなり声出てねーな」と思ったけど、この頃になると逆に調子が出てきたのか、あの二回転半ひっくり返ったみたいな高音がばんばん出る。最後までしっかり歌いきってました。去年のラウドパークANGRAなんかは「Carry On」の最高音部はメドレーで誤魔化してたらしいけど、さすがアンドレは本家。この曲はやっぱりこの人なんだなあと思いましたよ。

■LACUNA COIL■
 アンドレ・マトスのステージが終了すると同時に必死こいて人波に逆らい前方へと殺到、何とか前の方を確保したところでお次はLACUNA COIL。お隣でやってたWIG WAMはまあかっこいいなーとか思いながら適当に聞き流しつつ、恋い焦がれるのはクリスティーナ・スカビア姐さんの艶姿
 でそのクリスティーナ姐さんが登場すると同時に場内のヴォルテージ、具体的には身体にかかる圧力はMAX状態に。いや、昨日のNILE最前列だってここまでではなかったですよ。去年のSLAYERがこんなもんだったかなってぐらい。それだけ生姐さんの登場を待ち望んでいたということですかメタル野郎共。
 そんな生で観るクリスティーナ嬢、やはり美人。アルバムで聴けるそのままの透明な声を聴かせながら、それと裏腹に勢いよく手だの頭だの振りまくる姿には目が釘付けされっぱなしである。対して、男性ヴォーカルのアンドレアの方はアルバム同様ライヴでも空気ですねやっぱり。ていうか客席の方、私のいたところでは圧力と動きが激しすぎてろくにステージが見えず、そんな私の目の前にアンドレアがいて代わりに肝心のクリスティーナ嬢はあまり来てくれないとかいう状態だとストレスめきめき溜まる。まあでも、そういう眼福的要素抜きにしてもライヴそのものは非常に良かったです。アンドレアが空気だろうが、演奏陣がしっかりしててクリスティーナ嬢が目を惹きつけていれば格好いいに決まってる。

■SATYRICON■
 LACUNA COILが終わった後もそこに留まりTESLAの演奏中は待機、そしてお次はSATYRICON。LACUNA COIL終演後に物凄い勢いで場所の争奪戦があって、結果前から2列目に居座ることができました。これでサティアーかぶりつき。
 イントロでメンバーがぞろぞろと出てきて、全員が配置に着くと同時に演奏開始。途端に場内は独特の邪悪かつ荘重な神秘的空気に包まれ、これぞSATYRICONとむやみに溜飲が下がる。似たような服を着、似たようなメイクをした弦楽器隊+サティアーの4人が等間隔で前方に一列に並び、似たようなポーズで頭をぶん回す光景は実に美しい。さらにその後ろではやはりキーボードのおねえさんが一人獅子舞状態だし。前にDojoで観たときには会場が小さくてサティアーばかりに目が行っていたけれども、この一体化したフォーメーションはこういう大きい舞台でこそ一層映えるということがわかった。フロストは巨大なドラムセットにすっかり埋まって手足の一部分が隙間から見える程度なのだけど、それでもそのあまりに人間離れしたプレイだけで存在感を強烈過ぎるほどにアピール。惚れ惚れする。
 サティアーは相変わらずかっこいいし、演奏も相変わらず整いすぎの要所要所決まりすぎだし、やっぱりSATYRICON最高としか言いようがない。最初の曲でマイクの機材トラブルがあっていきなりサティアーの声が聞こえず、マイクを取り替えても駄目だったり、数秒声が出るけどすぐに聞こえなくなったりを繰り返しているうちに曲の半分以上が過ぎているというようなことがあって非常に痛かったが、それでも安定しきった演奏と堂々としたサティアーのパフォーマンスですぐに持ち直していたあたりはさすが。
 最後は速さ2割増で殺傷力倍増の「Fuel For Hatred」〜お馴染み「Mother North」。ひたすら叫んで歌って、殺伐とした満足感と全力を尽くした脱力感が胸いっぱい。

■サイン会とか■
 SATYRICONが終わったところで腹が減ったので、そのへんの店でケバブのデラックスなやつを買ってビールと一緒に食う。肉うめえ。
 あとESPのブースでのSATYRICONのサイン会にも忘れずに。しかし行ってみるとギタリスト二人しかいなくて面食らう。単にSATYRICONっていうもんだからてっきりサティアーとフロストがでんと座ってるもんだと思ったのに。まあこの方々も十分凄い人達なのでサイン自体は喜んでいただく。それに着ていたMAYHEMのデッドTシャツを褒めてもらいましたよ!「Nice shirt!」だって。

ARCH ENEMY
 そんなことをいろいろやって会場に戻るとSATYRICONの次にやっていたSAXONは終わっていて、HANOI ROCKSのステージに。ほっほうあれがいわゆるマイケル・モンローか、かっこええのうと椅子に座って観ていると、先ほどの肉ビアーにより俄然力を得たスイマーが猛攻撃をかけてきて一瞬で陥落。起きたときにはARCH ENEMYが始まるところでしたとさ。前の方に突入してみようかとも思ったが、SATYRICONで気を放出しきってしまったのでやめて、そのまま椅子のところに立って観戦。
 ARCH ENEMYを観るのはこれで何度目かになるが、目に見えてどんどん格好良くなっていてびびる。今やバンド全員キャラ立ってますしね。特にアンジェラ姐さん。短パンにタイツで脚線美をむき出しにしながら異様なテンションの高さで煽る煽る。新作で見られたヴォーカルの表現幅の広がりが、昔の曲にもしっかり活かされていたのが良かった。
 でも選曲はちょっと不満で、何で「Bury Me An Angel」やらんかね。「Nemesis」とか定番化してるし曲はいいと思うけど、サビの歌詞がダサくて耐えられんです。個人的には。あとアモット兄さん、何千という人が見てる前でアンジェラの肩を抱くとかはやめた方がいいと思います。カップルのいちゃいちゃを観に来てるわけじゃねーんだからさあ。

MARILYN MANSON
 でラスト、マリリン・マンソン。もともと興味はほとんどなくて、まあせっかくだし最後まで観てくかという程度の貧乏性的心構えで観ただけなのだが、これが予想外に良くてびっくりした。アンビエント・ゴシックみたいな一曲目が幕の振り落としで始まって、スモークを焚かれた赤い光の中にマンソン氏のシルエットが現れた時点でこりゃただもんじゃねーなと思わされる。最近毒が抜けたとか丸くなった(体型も)とかよく聞くけど何のその。まあ曲自体をアルバムで聞いている分には私とかにとってみるとだるいのだが、ライヴになるとマンソン自身の存在感がそれを補って余りある。一曲ごとに衣装やら趣向を替えてくるし。どちらかというと、曲を道具に使ってマンソンがパフォーマンスしてるという感じか。何にしろ、基本ほぼ一人であれだけの会場を全部自分のものにしてしまっていたのだから大したもの。カリスマってこういうのか。恒例らしきケツ出しも見られたし満足です。

 というわけでラウドパーク07、何だかんだで去年と同様目一杯楽しめた。事前に面子を聞いた分には「去年に比べると微妙なラインナップだな」というのが本音だったものの、実際観てみると意外とかっこいいというパターンが結構あったり。あと今回の会場だと去年と比べて音が格段に良かったのも大きな評価ポイント。客席部分とかの形状で音が反射しにくいとかですかね、よくわからんけど。あとトイレが多いのもいい。このままこの会場でラウドパークやるっていうのが毎年定着するといいな。


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