LOUD PARK 07 @ さいたまスーパーアリーナ・一日目

 ラウドパークに今年も行って参りましたので、感想とかちょっと書いてみますよ。

■入場・下見■
 前日深夜まで雨降りまくりだったのが嘘のように晴れてたいへん良いお天気。どうやらメタラーには私を筆頭に日頃の行いが良い品行方正な紳士の方々が多いらしい。
 10時過ぎに会場に着くと、入場整理の行列はちょうどピーク状態。まあ晴れているので何ほどのこともなく、天候に感謝しつつ入場。
 入ってみるとたまアリの中は何やらえらい複雑そうなので、開演までの間見て回って構造を一通り把握してみることにする。ふむふむ便所がいっぱい設置してあるのは親切で好感度高いですね。とか思っていたらいきなり自分の現在位置を見失ったファック。あとそこここにある売店がぼったくりでむかつく。茶とか300円ですぜ。それもペットボトルじゃなくてコップに注いだやつ。飲食物持ち込み禁止にしておいてこれとか常套手段とはいえ阿漕にも程がある。去年とかはペットボトルを普通の値段で売ってたように思うがなあ。違ったっけ。

■CELLADOR■
 適当に進んでいたら何とかステージのところまで戻れたので、朝飯にナンドッグなどを買い、客席に座って食いながら待機。ほどなくしてMCに続きCELLADORのステージが始まった。
 ヘッコだヘッコだと聞いていたけれど確かにそうで、HELLOWEENの演奏部分を倍速にしてるような感じ。なんかギターだかベースだかの人が「日本人彼女募集中」とか書いたTシャツを着てたり、ドラマーは日の丸に「必勝」って書いた鉢巻きをしてそれがしょっちゅうずり落ちたりしてメンバーの格好はバカみたいなのだけど、演奏はかなりのもの。ギター二人は高速で実に悶絶的にハモるし、終始バスドラを安定して連打しっぱなしのドラマーも凄い。ヴォーカルは歌い回しから性質からキスクそっくりだし。
 予習もしてなければ予備知識もほとんどなく、まるで期待していなかったところになかなかすげーものを見せられてテンション上がったことですよ。

THERION
 しかしテンション上がった端からさっき食ったナンドッグの血糖値シグナルが脳へ届いたらしく、早くもスイマーの攻撃を受けて撃沈。OUTRAGEがわりと熱いことをやっているなと思いつつもそれを味わう間もなく夢の世界へ。約30分、せっせと仮眠を取ってしまいました。
 で目覚めたところで次はTHERION。いや、これには始まった途端度肝を抜かれた。とりあえず前に弦楽器隊3人、後ろ中央にドラムというのはいいとして、ドラムの左右に男女一組ずつ計4人のヴォーカル、というステージ配置がまず異様。後ろにいるのはコーラス隊とキーボードかな、とか思ってたらその位置で普通にリード・ヴォーカルを取り始めたから驚いた。そうか、さっきからむやみに飛び跳ねてた顔怖い人はスノーウィ・ショウか! 4人中女性一人がほぼ完全にコーラス役で前面には出てこないのだが、残り3人が適宜前方へ出てきては(もしくはそのまま後ろで)交代で、あるいは複数同時に歌ったりする。この3人が3人ともかなりの巧者、客いじりも上手く(特にスノーウィ・ショウの爬虫類声による「Hey! Hey!」は迫力があり過ぎて困る。相当本格的っぽいソプラノ声を操りながら客にアピールする女性ヴォーカルの人も凄い)、その入れ替わり立ち替わりのステージングもあって、何やらオペラでも観ているような感じ。服装なんかの道具立てもそこによく効いている。シアトリカルという言葉がこれほどぴったり来るライヴというのもそうそうなく、こんなライヴをやるのは本当にこのバンドだけだろうなと確信できる個性的さ加減である。いやびっくりした。1曲目が終わった瞬間、周りから「おぉ……」と感嘆の呻きが漏れたのも当然の流れか。これが観られただけでも今年ラウドパークに来た甲斐があったね。

■STILL REMAINS■
 曲とかは全然知らないのだけど、次の次にあるNILEの場所取りのためにわりと前の方に行ってちょっと頑張ってみる。曲の開始後すぐに目の前にでっかいモッシュの輪ができてびびった。さすがメタルコア
 しかし肝心のステージの方はちょっと見劣りがして、なんだかなあ。何よりいけてないのはヴォーカルで、デス声はそう悪くないのだけど普通声が致命的なまでにへにょっへにょで萎える。メロディラインが特に印象的というわけでもないので、そんな取って付けたようなのならいらねーのにとか思った。サウンド全体もなんだか迫力不足。キーボードも装飾や特殊な効果を加えると言うよりは、軟弱な感触を強めているようにしか聞こえなかった。

■NILE■
 STILL REMAINSが終わって客が出て行くのと入れ替わりに前方へと進み、前から3列目あたりを確保、NILE観戦に向けて万全の体制を整える。待っている間にお隣でやってたFASTWAYは私にとってはまるで用のない音楽のようだったので、適当に聞き流しながら目の前のステージに集中。機材チェックのためにクマぷーのような風貌のカールさんがにこにこ笑いながらのしのしと出てきたり、頭頂からの後光も眩しいダラスさんが同じようににこにこ笑いながら出てきたりして、嬉しくなってメロイックサインなど差し出したりしてみる。
 そして始まるNILEのステージ。お馴染みエジプシャンなイントロに続き、響き渡るのはあの衝撃の超絶ブラスト! 最初の方ちょっと音がぐしゃぐしゃだったのと、あとベーシストがDojoで観たときの人から替わったのか、あの壮大な頭扇風機が観られなかったのは少し残念だったものの、意味不明なほどの音数のドラムを中心に人智を超越した名状しがたき古代の呪いじみた演奏は堪能させていただきました。異様に怪しげに張りつめる濃密な空気、それと音数は間違いなくこの日一番。
 Dojoでは人を突き放すかのような超絶演奏ぶりに、多くの観客が感銘は受けたもののどうやって乗ればいいのかわからないといった風で茫然としていたけれども、今回はそうでもなく、観客の皆さん結構頑張って飛び跳ねるしサーファーも出っぱなし。これは明らかにダラスの客扱いが上手くなったということでもあるし、また新作が前作の流れを引き継いでことさらにメリハリを効かせたフック大増量の曲で占められていることも大きいか。

■ちょっと休憩■
 その後は少し真面目に観るつもりだったものの、NILEを観てああーいいもん観たやっぱ最高と満足したところでテンションが下がり、椅子で寝たりぶらぶらと物販で買い物したり飯を食ったり。AS I LAY DYINGは去年に続いてあまりちゃんと観なかったけど、格好良かったですよと。NOCTURNAL RITESの時は寝てしまいましたよと。MACHINE HEADの時は物販でNILEのTシャツ買ってましたよと。MACHINE HEAD、格好いいことやってるのはわかるのだけど音がでかいばかりでぐっしゃぐしゃに潰れててよく聞き取れませんよと。客席から通路へ出た、つまり壁一枚隔てたところの方がよく聞こえるとかどういうことですかと。

TRIVIUM
 METALLICAそっくりで大人気!という評判、さらにそこへどっかの店頭で曲がかかってるのをちらっと聴いて「あーはいはいMETALLICAパクり過ぎだろ」と思ってそれまで、予習もまったくしていなければ観る気もあまりなかったTRIVIUM。しかしイントロに続く一曲目をしばらく聴いてそんな思いもどこぞへと消えた。とりあえずむやみにシャープな動きによる見事な頭扇風機を見せられただけで悶絶。
 音も思っていた以上に良くて、歌い方はMETALLICAっぽい部分が多くて曲もMETALLICA的なところがちらほら見られるけど、METALLICAというよりはそこから現在のメタルコアへと至るメタル音楽全体の美味しいところを取ってまとめている感じで、それそのものとして十分かっこいい。
 でもって演奏は派手で上手い、歌も上手い、ルックスもいいとくればこれは人気が出ないわけがないか。後でちょっと真面目に聴いてみるとしますよ。

BLIND GUARDIAN
 寝たり休んだりしていたおかげでまだまだ体力余ってますよというわけで、TRIVIUMがやってる最中に前方へとにじり寄る。ラウドパークの面子として発表された時には「へーそう」って感じだったのが、昔のアルバムとか引っ張り出してきて予習しているうちにすっかり楽しみになってしまったBLIND GUARDIAN。もう歌う気満々ですよ。
 で始まったわけですが、まずハンズィがベースを下げてないので面食らった。中途半端な位置に陣取ってしまったせいで前の人垣が邪魔でなかなかよく見えないのだが、何度見てもやっぱり持ってないし、ステージが進行してから持ってくるというような様子でもない。後ろの方で大人しく黙々と何か弾いてる人がいるけどあれひょっとしてサポートのベーシストか?
 最近の(というかここ何年か)の彼らのことってまるで知らないし、メンバーチェンジの経緯なんかも全然よくわかってないのだが、BLIND GUARDIANって今、少なくともライヴではハンズィはヴォーカル専任なのか。いつ頃からこうなんだろう。
 まあそれならそれで良いのだけど、しかしハンズィ、ベースを持ってないと妙に頼りなく見えた。手ぶら状態を持て余しているというか。服装も簡素だし、なんかこう威厳みたなものがまるで感じられない。なんか微妙。微妙といえばステージの背景も微妙。ロゴとか絵とかないなーと思っていたらプロジェクターか何かで変な動画が延々と映されているのだが、これが実にもう変な動画としか言いようのない映像で、曲と合っているとも思えないし訳がわからない。何なんだ一体。
 しかしまあ私の位置からはそもそもステージはものすごく見にくいのだし、シンガロングするにはこのパワフルな演奏と、唯一無二のハンズィの声さえあれば十分。「Born In A Mourning Hall」、「Script For My Requiem」、「Mirror, Mirror」、ああ大合唱気持ちいい。合唱パートのキーもだいたい歌って気持ちいい音域に設定されてるんだよな。上手いよな。

■HEAVEN AND HELL■
 一日目の最後を飾るのは去年に続いての登場となる、超人ヴォーカリストとして名高いディオ爺さん率いる再結成BLACK SABBATHもといHEAVEN AND HELL。
 いつの間にかステージの上は「HEAVEN & HELL」のジャケ絵をバックに古い屋敷だか城だかのセットが組まれていてびっくり。さすがヘッドライナーのひとつですわ。
 でこのステージ、去年も目撃済ではありますがディオ爺さんの衰えなさっぷりに驚きの連続。さすがっつーかもうどう考えても不死身でしょこの人。去年同様、さすがにご老体の体力を慮ってか長めのドラムソロやら長すぎるギターソロ(めちゃくちゃ上手いし聴き応えはあるんですけどね)やらが挟まれてはいたけど、そんなんなくても余裕で全部歌いきれるんじゃねーのっていうぐらい最後まで全然衰えないし、ギターやドラムとの掛け合いで無茶なシャウトしたりするし、終始きびきびと動き回りっぱなしだし、あれ人間じゃねーだろ。何歳だ。
 曲は去年と違ってSABBATHってことでメタル一色に統一されていたし、たいへん乗りやすく楽しめた。音質も今日出たバンドの中で一番良かったように思う。さすがはベテラン。アンコール込みの1時間半、時間もたっぷりでした。
 あとどうでもいいけど、トニー・アイオミとギーザー・バトラーっていくら見ても見分けつきませんよね。楽器持ってなきゃわかんねーです。誰か区別つくのあれ。

 さて、明日は「Mother North」で大合唱だ!


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