KAMELOT with FIREWIND @ 渋谷・O-EAST

 開場時刻18時のところを18時に渋谷に着き、ラブホや風俗の派手な電飾看板がむやみに立ち並ぶイカス通りを抜けて会場へ。ちょっと遅れたなーと思ったが、はてそれにしては集まった人混みが動いていない。拡声器の声をよく聞いてみると、会場のセッティングがまだできておらず開場時間が押しているらしい。ナイス不手際!
 おかげでほぼ整理番号通りに入場、グッズは今回特に興味がないのでパスし、さっさとワンドリンクのビールをもらって最後方のPA卓前の柵にもたれかかる。いつも行くデスメタルやら何やらのライヴならとりあえず前方で騒ぎたくなる性分だけれども、今回に関してはやっぱりカーン様の歌とかいい音でじっくり聴きたいですよね。

■FIREWIND■
 定刻をいくらか過ぎたあたりでむやみに荘厳なイントロが鳴り響き、FIREWIND開始。彼らのことは去年のラウドパークでちらりと観ていたので一応初めてではないのだが、あの時感じたのと同様に非常に安定した演奏で聴かせてくれた。ガス・Gの男前な弾きっぷりは当然ながら見事。ツアー前にヴォーカルが脱退、METALIUMだか何だかの人が代わりを務めることになったそうだが、この人が急の代役と思えないほど何の違和感もなくはまっていて実に良かった。音もリズムも全然外さないし、最後までまるで声が衰えることなく歌い切るし、客あしらいも上手い。どちらかというとかっこいいというより愛嬌のあると言った方がしっくり来る風貌(侍と大書されたTシャツの下半分が縦横にぽっこり飛び出ていらっしゃる)だが、柔和な笑みを浮かべつつ堂々かつきびきびとした動きで観客を煽る姿はなかなか見栄えが良い。ドラマーもドラマーの割にというか、結構な目立ちたがりさんのようで、ドラム用のステージは妙に高めだし、いちいちスティック回しは決めるし、なにやら特注っぽい先っちょがビカビカ光る変なスティック使ってるし、振り子人形みたいに頭ぐらんぐらんさせながら楽しそうに叩くしで愉快。
 そんなわけで、前座のわりには長くたっぷり1時間余り、曲は全然知らないながらもかなり楽しめるライヴでした。結構いい曲も揃ってるしね。

KAMELOT
30分ほど置いて、本日のメインであるところのKAMELOT。前方の客は結構入れ替わるのかと思っていたらあまりそういった動きは観察されず、またFIREWINDの時には7割程度に見えた客入りがこの段階になってかなりぎっしりな状態に。やはり皆さん、FIREWINDよりはKAMELOTがお目当てらしい。
 逆光のスポットライトの中、仮面をしたマリア嬢(かな?)がステージ前方に進み出てヴァイオリン(「GHOST OPERA」アルバムのイントロ)を弾くという何とも劇的な演出でショウはスタート。注目のカーン様の声はアルバム通りの艶やかさで、たまに動くのに夢中になってか入るのが遅れたり、高音部ではさすがにフェイクしたりはするものの、細かい部分での声の抜き方とか、エロ過ぎる裏声とかその辺の表現がもうたまらん。彫りの深いミステリアスなお顔立ちも相俟って、KAMELOTの音楽そのものと直接通じる官能的なオーラを発していらっしゃる。笑顔がまたいいんだこれが。
 舞台上の演出が結構凝っていて、背景に「GHOST OPERA」のジャケット絵の馬鹿でかいパネル、少し手前にはアンプ類を隠すようにバンドのマークが描かれたパネルが2つ。スポットライトは普通に背後と上から照らすだけでなく、前方のわりと低い位置にも設えられたものを効果的に使っていた。またところどころで巨乳美女であるマリー嬢が出てきてカーンと絡んだりと、むやみにドラマティックなKAMELOTの音楽と良く噛み合ったステージになっていた。バラード2曲に各楽器のソロ・タイム(アルバムではあくまで楽曲本位というか、これ見よがしなプレイはほとんどしない彼らだが、これを聴くと全員かなりのテクニシャンであることがよくわかる)を上手い位置に入れた曲構成とか、フロントマンのカーンが暑いだろうし実際汗もだらっだらかいているにもかかわらず長袖の黒服を決して脱ごうとしないとか、その辺のこだわりもさりげなく効いていたり。
 少し残念だったのは演奏が前半やや走り気味だったのと、マリア嬢のヴォーカルが音量が小さくてかなり聞き取りづらかったこと。カーンの声に被せる時でも上手くハモれておらず、カーンの声の邪魔になっているだけと感じたこともままあった。でもまあ全体的には相当充実したいいものを見せてもらってお腹いっぱいだったことですよ。満足しきって帰りました。



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