NIGHTWISH「DARK PASSION PLAY」

tawachi2007-09-26

 フィンランドを代表する勢いのシンフォニック・メタル・バンドの、ヴォーカル交替後初作品となる通算6作目。5月に新任ヴォーカルのお披露目シングル「Eva」がお目見えした際には、曲そのものがシンプルな、彼らにしては凡曲だったこともあって、上手いし綺麗な声質ではあるが癖のない新ヴォーカルの印象はどうにも微妙なところで、前任のターヤが歌っていればもう少し魅力的に聞こえただろうに……と残念に思えたものである。ということで不安がなくもなかった今回の新作だが、そんな思いは冒頭を飾る14分の大曲「The Poet And The Pendulum」を聴いた途端に吹っ飛んだ。序盤からえらい迫力で畳みかけられるシンフォニック展開に、これこそNIGHTWISHであると激しく溜飲を下げさせられる。新ヴォーカルのアネットも、前任者のようなオペラティックなゴージャス感こそないものの充分な歌唱力を備えており、情感のこもった力強い歌声は、隙のないバックの作り込み具合に決して負けていない。その後もむやみに気合の入った曲がずらりと続き、彼らの過去作と比べても一番なのではと思える充実ぶり。「Eva」も一曲だけ聴くと物足りないものの、この流れの中にあると美しくはまっている。彼らのアルバムは後半ややダレることも多いがこの新作に限ってはそんなこともなく、テンションの高さが最後まで続く。メンバー交替直後という局面にこんな濃いものを、とも思うが、逆にそういう重要な位置づけとなる作品だからこそ、NIGHTWISH健在を印象づけてくれたのは実に頼もしい。ヴォーカル交代劇の痛手など微塵も感じさせないどころか、以前にも増して密度の濃くなった力作。


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