EXTREME THE DOJO Vol. 18 @ 渋谷・CLUB QUATTRO

 ここのところ何かと熱すぎるラインナップを連発していたDojo、本18回目はまたまたイカデスメタル大会。本当はDYING FETUSが来るはずだったのが、当日になって飛行機に乗れなかったとのことで急遽キャンセル。非常に残念だけれどもまあ、事故だとかそんなトラブルではないのだし、また近いうちに来て埋め合わせしてくれることを熱望しておくとしましょう。それに今回の私的目玉は初来日を見逃してしまったZYKLONを拝むことなので、ZYKLONさえ来てくれれば特に困りはしない、というわけでうきうきと行ってきました。

 開場10分前にクアトロに到着し、スムーズに入場。物販に並びZYKLONのTシャツを1枚買ってから入ると中はまだ空いていて、後方の柵際に座り込み開演までの1時間を待機。いや、前方で暴れたいのはやまやまなのだけれど、今回は風邪気味でちょっと体力的に厳しいかもしれないのでここは自重です。実際、DYING FETUSキャンセルの関係か開演時間が15分後ろになっていたし、長い待ち時間を柵にもたれて休んでいられるのはありがたかった。

■DAATH■
 ほぼ定刻の19時にDAATH開始。一応新人バンドながらステージングはなかなか堂に入っていて、曲間にSEが入る場面などは少し間を持て余しているようにも感じられたものの、曲中でのノリの良さは新人離れしたもの。ヴォーカルの煽りは上手いし、よく動き回って前に出ては観客を睨み付けるハゲのベースの存在感も凄い。演奏もむやみに音圧のあるパワフルなドラムを中心に至極タイトで、彼らの大事にしているというグルーヴが余すところなく表現されていた。それに支えられたリード・ギターのソロ等も、一切の弾き漏らしがなく流麗そのもの。ショウの途中で少しの間挟み込まれたドラムとギターによるソロ・タイムも見応えがあった。ギターの速弾きに合わせて超速でバスドラを踏むとか、あんなの見たことねえ。

 で、後方から見ていたそんなDAATHのステージがあんまりにも楽しかったので(差し出された無数のメロイックサインが逆光を浴びている光景のなんと美しいことか)、堪えきれずZYKLONまでの待ち時間中に前方へと移動。こういったライヴは実に半年ぶりだし、たかが風邪気味程度で我慢なんてしてられるか!と開き直った次第です。やっぱりタリムのドラムとか間近で見とかないともったいないよね。

■ZYKLON■
 というわけで本日のメインZYKLON。始まった途端横から後ろから人が押し寄せてくる。にんにく食ってきたらしい誰かの息が臭かったり、耳の真横でむやみに何度も絶叫するねーちゃんの声で鼓膜がナニしそうになったり、汗まみれのキモい腕が目のへんに当たって痛かったりするけれど、それも含めてやっぱりこうじゃないとライヴに来た実感ないよねと嬉しくなる。
 そのZYKLON、さすがの格好良さでした。ヴォーカルとベースは兼任だし、多くの場面で弦楽器3本ともものすごい速さで刻みっぱなしのせいもあってか、どのメンバーもほとんど持ち場を動くことはないのだけれど、それでも全員がただ黙々と演奏しているだけで妙な格好良さ(大物特有のオーラ)を発散させている。殊にベースを立て気味に構え、仁王立ちで堂々と弾き続けるゼクスディーモンには終始目を引きつけられた。やたらとキレのある頭扇風機も見事だし、曲の終わりに意外と爽やかな声と顔で笑いながら「ありがとう!」と言うのも好感度が高い。
 演奏面もさすがの一言で、三人ともずっと右手が二重に見えるぐらい高速で弾き続けているのに全くずれない。ドラムは北欧ブラックメタル界のブラスト神の一人とも崇められるタリムだが、曲調のせいか、単に音量が小さめなせいか、高速で叩いていても妙に抑えた感じというか、余裕を残しているというか、淡々とした機械っぽいところがあって、それがまた貫禄があって怖い。ものすごい余裕綽々の叩き方なんですもん。ただ、終わりの方にあった短いドラムソロでは思いきり爆発していた。どうなってんだあれと唖然。
 そういえばちょっと期待していたEMPERORの曲は結局やらなかったが、もう初来日でもないし、アルバムも3枚になるわけだから当然といえば当然か。ZYKLONはZYKLONで素晴らしいバンドだし、なにもEMPERORの代わりに聴いているわけでもないから、何の不満もないが。

 そんな具合で今回のDojoもたいへん素晴らしいイベントでした。終演後にはDYING FETUSが来なかった分の埋め合わせの意味もあってか、DAATHとZYKLONのサイン会も開かれて、私もZYKLONのメンバー全員と握手して、さっき買ったTシャツにサインももらって感激。「ありがと!」じゃねーよそれはこっちの台詞ですよ。うわああああ目の前にサモスがタリムが。ゴツゴツしたでかい手の感触、もうたまらん死ぬ。ていうかこのTシャツ、もう洗えねーしその前に着らんねーよ! 3500円もしたのに! 嬉しいな!