陰陽座「魔王戴天」

tawachi2007-07-24

 2年ぶりの新作。「煌神羅刹」の頃に回帰したと既にほうぼうで評判になっているようだが確かにその通り、いつもよりヘヴィめの音像に加え、5曲目までがアップテンポのメタル曲で占められており、鋼鉄度の高さが印象づけられる。とそこらでお腹一杯になりかけたところで、後半では翻ってファンキーな曲にプログレ大曲、スラッシュ・チューンにバラード、そしてラストは爽やか極まりないポップ・チューンと芸幅の広さを見せつける。偏った曲順のようにも思えるがこれで聴いてみると意外と流れが良いのは、全体で43分というお手頃なボリュームと、各曲の出来の良さのためだろう。穴埋め的な曲は見あたらず、一曲の中でもあらゆる部分にいちいち説得力があるために、ここ数作にあった隙やダレといったものが感じられない。いつもより長い時間をかけただけあって密度の詰まった、「充実作」といった言葉がぴったりくる出来映えだ。惜しむらくはドロドロした妖怪風味がますます薄れてしまっていることだが(お馴染みの語りもないし、プログレ曲「大頚」も割とあっさりしている)、これだけ出来が良ければまあいいか。逆に、勢いよく一気に聴かせるという点では間違いなくこれまでで最高です。


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