DIR EN GREY「THE MARROW OF A BONE」

tawachi2007-02-10

 6作目。ここしばらく海外で積んだ活動実績が反映された結果か、これまでで最もヘヴィでメタリックな作品に仕上がっている。が今回、その方向性の定め方が完全に裏目に出た様子。最大の致命点は、その力を入れてきたヘヴィ・パートが、彼らが目指したであろうSLIPKNOT等をはじめとするバンドらの真似事の域を一歩も出ていないことだ。もちろん以前からそうした要素はちらほら見受けられたが、それはごく一部の楽曲のみで、その程度ならむしろ微笑ましく迎えることができた。しかし今作ではそこに真正面から取り組んできているせいで、パクリ臭さ、本家と比較して足りない部分がとにかく鼻につく。「SLIPKNOTぽい」だの「最近のIN FLAMESぽい」だのという箇所があまりにも多すぎ、しかもことごとく本家よりはつまらなく、なおかつDIR EN GREY独自といえるものが何ら感じられない。聴けば聴くほど底の浅さが露呈する。楽曲自体がこうなると個性を出すのはヴォーカル・パートぐらいになってくるが、それも元々線が細いのが、バックをむやみにヘヴィにしているせいですっかり埋もれてしまっている。メタルの方に打って出る時に武器になるのは、むしろ彼らが元から持っているメロディ・センスではないかと思うのだが、そこがスポイルされているのがまことにもったいない。もちろんそうした要素は消えたわけではなくて、ヘヴィさ大増量の中にもメロディアスな曲・パートは少なからず入っているのだが、どうにも全体的にフックに乏しく、ヘヴィ・パートのつなぎ以上の役割をほとんど果たしてはいない。結局のところ、インパクトの点では彼らの全過去作と比較しても最も劣る作品ではないかと思う。残念。


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