Extreme the Dojo vol. 16 @ 渋谷 CLUB QUATTRO

 Dojoブラックメタル大会に行って参りましたよ。いやあ凄かった。

 開場の18時ぎりぎりに渋谷に到着。駅のコインロッカーに荷物をブチブチ込んで会場に着くと、私の整理番号をとっくに超えて入場呼び込みをしていたので慌てて駆け込む。ところでどうでもいいけど(良くないかな)、このクラブクアトロって階段狭いし火事でも起こったらまず助かりそうにないよな。
 考えてみたらなぜかNAGLFARのTシャツを持っていなかったので1枚買い、そそくさと入場。幸いにも物販やロッカーでトラップされているのかまだ大して客は入っていない上、ほとんどの人は後ろの方の一段高くなったところにいてステージ付近にはそれほど集まっていない。ど真ん中の前から2列目あたりを確保。

■NAGLFAR■
 ほぼ定刻通りにNAGLFARが開始。とりあえず、ガタイのいい白人のおっさんらが目の前を右往左往する様だけでインパクトは十分。音がちょっと良くなくて、ギターなどの細かいところが一部あまり聞き取れないのが残念だが、わりと曲にフックが設けてあるので乗るには特に問題なし。MCをほとんど入れず疾走しっぱなしの約50分、自力で脳震盪になれそうなぐらい首を振らせてもらいました。
 選曲は3rd「SHEOL」と4th「PARIAH」中心。こうして同じ布陣による演奏を聴き比べてみても、イェンスが頑張っていた激情迸りっぱなしの3rd以前と、冷徹な邪悪さを重視したような4thではやはり曲調からして結構違うが、クリストファーも予想以上に良いパフォーマンスを見せてくれているので何の不満も違和感もない。「Black God Aftermath」や「I Am Vengeance」はやはりイェンスで聴きたかったなとも思うけど、それは彼の在籍時に観に行かなかった自分が悪い。

■SATYRICON■
 30分ほどのブランクを挟み、次はSATYRICON。入場した時から今回やけに女性客が多いなと思っていたが、始まりそうな雰囲気になるとそれらおねえさん方の間から口々に「サティアー!」と絶叫が上がる。そしてそんな黄色い喚声に導かれて出てきたサティアーの格好良いこと! 先程のNAGLFARのパフォーマンスがあくまでブラックメタルバンドとしての威厳や邪悪さを表現するようなものだったのに対し、こちらはその邪悪で荘重な曲調とは裏腹に、見た目や動きそのものは快活なロックの格好良さをストレートに見せてくれる。男前だわ美声だわ(デス声もそうだけど地声がマジクソ格好良いのですよ)筋肉はいいわでこれは野郎でも惚れる。
 演奏もそれはもう最高。分離も音圧も申し分ない音質の中、やはり耳が行くのは鬼神・フロスト様の超絶ドラム。むやみに数の多いドラムセットから繰り出された最初のオカズ一発でもう圧倒される。馬鹿っ速いくせにめちゃくちゃ正確、テンポチェンジだろうが変拍子だろうが難なくこなす。そして怒濤のブラスト! 去年のNILE以来、あまりに凄すぎて笑うというのを久々に味わった。NILEと違ってだいぶノリのいい曲調につい首を振ろうとすると間違いなく付いていけず首がもげそうになる。さっきのNAGLFARでもドラムは感心するぐらい上手かったが、正直フロスト様のこれを聴いてしまうと余裕で霞んだ。そしてブレイクの度に漏れなくきっちり決める他の演奏陣も素晴らしかった。あまり出番はないであろうのにちゃんとキーボード要員も用意されていて、彼女が演奏してないのに首を振りまくっている様も実に見応えあり。
 曲はやはりここ2作の、邪悪ながらノリの良い曲がほとんど。そんな中で昔のブラックメタル丸出しな曲をやられるとむしろ違和感が大きいが、やはりこれはこれで凄く嬉しい。お約束、ラストの「Mother North」の壮絶さには、ギターと一緒に歌いつつ当然悶絶。

CELTIC FROST■
 ここで私は戦列を離れ、ドリンク券でビールをもらって休憩。後方からCELTIC FROSTを観戦する。後ろから全体を見渡すと狭い会場に観客がぎっしりで、さすが魔王の初来日と激しく溜飲を下げる。
 トマスの第一声「ウッ!」には笑ったが、終始ひたすらヘヴィなこのステージ、呪詛みたいなヴォーカルのせいもあって一種儀式めいた厳粛さを醸し出していた。音数は今回出演したバンドの中で一番少ないと思われるが、そのくせ邪悪さでは最強。ほぼ単音とかで執拗に繰り返されるリフに酩酊する。前衛メタル・バンドとかよく言われるが、SLAYERをブラストのないデスメタルとするならCELTIC FROSTはブラストのないブラックメタルと言えるか。そう考えるとその偉大さと先鋭性に鼻血が出る。特に大した動きもないのになぜか格好良いという、大御所特有の威圧感も素晴らしい。これが伝説というやつか。

 そんな感じで身も心もどす黒く染め上げてくれた今回のDojoにはひたすら感謝。次はVADERですよ!


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