EXTREME THE DOJO Vol. 15 @ 渋谷・O-EAST

 NAGLFARやZYKLONといった美味しいメンツを何となく見逃しては後からあれは良かった凄かったとの評判を聞きその度に何で行かなかったんだ俺の馬鹿阿呆間抜け死ね生きてて済みませんと自責の念にかられっぱなしだったこのイベント、15回目にして糞豪華なラインナップに狂おしいほど喜び身悶えしながら初参戦してきましたよ。

 ぴあで発売日に取ったチケットの整理番号はB180番で、これはつまり店売りとか諸々の前売り券がただの番号あるいはA何番とかで、実際の入場順は180番目ではなくて何百人かいるのであろうそれらA何番の人たちが入り終わってからの180番目なのだろうなと考えつつ開場時間にほんの少し遅れて会場に着いたら、ちょうどB180番目の客までを入れているところだった。何だよひょっとしてBとか付いてるくせにそのままの番号で入場かよと慌てて人混みを掻き分け入り口に向かう。急いでいたもので建物の確認もできず、自分が今いるここが果たしてO-EASTなのかそれとも界隈に林立する猥褻なホテルの1つなのかも実際よくわからない。周りを見渡してみても私がよく行くチル何とかだのダー何たらといったバンドの客層とは明らかに違っていかにも厳つく怖そうなのが多くやっぱり違うんじゃないかと不安になる。いつものメロスピTシャツを着込んで甲高い早口で喋るメタルヲタクな兄ちゃん達はどこに行ったんですか、とチケット確認のところで大恥をかく恐怖に怯える。場内から聞こえてくるデスメタルっぽい音楽に大丈夫大丈夫と自分に言い聞かせながらチケット確認を突破し、ステージに掲げられたEXODUSのロゴを見てようやく安心した。

 中に入ると客はまだあまりおらず、ロッカー(中にあったんで随分助かった)に荷物を預けて真ん中二列目あたりに行く。ここで、会う約束をしていた某Kさんと携帯メールの遣り取りの末無事に接近遭遇。自身のメタル経験とかについて語ったりしているうちにライヴ開始。まずはEDGE OF SPIRIT。彼らを観るのはARCH ENEMYとかの前座で出てたとき以来2回目だが、明らかに前回より格好良くなっているので感心した。ヴォーカルの人の巨漢ぶりとかイカスTシャツぶり(BEEFとかCHICKENとか書いてあってかっけー)、好感度の高いMCぶりに痺れました。観客の反応も上々。曲もいいしなやっぱり。またCD聴き返してみるか。

 20分そこそこでEDGE OF SPIRITは退場し、お次はEXODUS。ここら辺からサーファーやらダイバーやらの猛攻が始まり、それらの脅威に警戒しながら鑑賞。新ヴォーカルのスラッシャーに相応しい糞小汚い風貌や結構イカスパフォーマンスに激しく溜飲を下げつつ、実は前寄り過ぎるこの位置からはヴォーカルもギターも音質的にすっ飛んでしまっていてドラムの音しかろくに聞こえないのだった、というわけでボスタフすげー。最初は結構大人しく普通に叩いてたのが、後半に進み全員が乗ってくるに従ってだんだんテンポが上がってきて手足密度の高騰につい鼻息が荒く。

 ドリンク券でもらった酒で休憩を入れ、次はNILE。あの音楽は一体どうやって乗ったらいいのかわからないという合意のもと、Kさんと二人して左後方にすっ込む。NILEのこととかひとしきり話しているとサウンドチェックでいきなり有り得ない速度でブチ鳴らされた凄まじいバスドラに二人びっくり。これは本人がやっているのか、こんなことができる人間がそうそういるとは思えないから本人に違いないとかいう結論を出す以前にあまりの凄さにとりあえず爆笑した。やはり度を超して人間離れしたものを目にすると笑ってしまうもんですね。ライヴ本編に入るとますます物凄く、テンポの如何に関わらず米粒のようにびっしり敷き詰められたバスドラをほとんど休みなく打ち鳴らし続ける文字通りの超人っぷり(実際、改造人間としか思えない)に心底驚くと同時に心底笑い、「開いた口がふさがらない」「呆れて物も言えない」といった古典的言い回しを物理的に体現する前半30分。またそのドラムに合わせて一糸の乱れもなくCD通りに演奏するギターも凄ければテンポ自在の人間扇風機と化したベースも凄く、3人で分担してゲロゲロと発するデス声も凄い。しばらくするとさすがに笑いは収まってきたけれど、最後まですげーすげーと感心しっぱなしでしたよ。確かに乗れるような音楽ではない(あれに乗れるのは首が通常の3倍どころか150倍ぐらいの速さで動く宇宙生物だけでしょう)し、観客もさすがに乗り方が分からないのかかなり大人しかったが、しかし圧倒的という言葉がまさにぴったり来る最強の芸術の1つだと認識されました。すげえもん観た。

 で最後はTHE HAUNTED。前に観たHAUNTED初体験時のマルコ・アロの印象が強く残っているものでピーターはさてどうなんかと思ってたら、いやいやかなり良かったですよ。格好は普通のおっさんの割に気合いの入りまくったパフォーマンスがイカス。新旧満遍なく取り入れられたセットリストの中で、マルコ時代の曲もマルコに負けない迫力で違和感なく歌いこなしていた。そしてやはり何より曲が良くて無闇に乗れ、つい首を振りすぎてしまいましたよ。少し離れたところから眺めていたモッシュも物凄い勢いで。

 終演後は会場を出ようとしていたところを「ヤンセンが写真撮らせてくれてる」ということで場内に呼び戻される。すると本当にヤンセンが客席に降りてきていて握手会・撮影会状態。私は携帯のカメラが壊れていることもあって輪の外から眺めているだけだったがいい光景ですね。私はいつもライヴが終わったらすぐに会場を出ているので知らなかったのだが居残っているとこういうこともあったりするのだなあ。Kさんとかは無闇に突進しては何度もハグしてたりしてむひょむひょな状態に。しかしこうして間近でファッキンイエロージャップと比べるとヤンセン顔ちっちぇー。10頭身。そんな感じのいろんな意味で豪華な2日の夜でした。


HOME PAGE : のこぎりパパ