デーモン小暮の邦楽維新Collaboration 青山本場所 Vol. 14「絢爛の巻」

 デーモン小暮閣下が邦楽と共演するライヴ企画、昨年の聖飢魔II再集結の余韻を引きずりつつ初参戦。「邦楽ねえ、琴とか尺八とか辛気臭そう」といったありがちな先入観のせいで今まで気が向くことはなかったが、去年生の聖飢魔IIを目の当たりにして「閣下がやるイベントがつまらんわけがない」と確信が持てたのと、再び地獄へ帰ってしまった聖飢魔IIを名残惜しむ気持ちもあって今回行ってみることにした。
 舞台は伝統芸能の第一部と、それらの楽器と元RXの黒船バンドが絡む第二部との二部構成。最初に閣下から今回の楽器(津軽三味線義太夫三味線)についての簡単な解説があった後、三味線の人たちが出てきて伝統楽曲を演奏。最初は津軽三味線だったが、これがえらいスリリングでびっくりした。めちゃくちゃテクニカル。細く鋭い音でどこのインペリテリかと思うぐらいの速弾きとか、三味線でこんなことすんのかと驚くばかり。メロディとかも「いかにも和です」みたいな感じではなくて、メタルやら洋楽に慣れた耳にも馴染みやすい感じ。後から聞いたらこれは伝統楽曲といえども実際の演奏は演者に任されているらしく、要はほとんど即興だそうな。なるほど。次に女性が二人出てきて娘義太夫。こちらはイメージ通りのいかにも伝統芸というやつで、まあ進んで観ることはあまりしない類のものだが観ればそれはそれで楽しい。
 ここで閣下が登場してしばしトークタイム。楽器の説明とかいろいろ興味深い。義太夫三味線の田中悠美子さんのノリがキョドってんのか何なのか妙に面白いですよ。クビですか。頭の固い伝統芸能の方々とかいるんでしょうね。先日の大相撲の放送で閣下が仰っていた形骸化の話を思い出しましたよ。トークの後は三味線をバックに閣下が夏目漱石を朗読。最初はごく真面目にやっていたがそのうち閣下らしい変なおふざけがどんどん増えてきて笑えた。
 休憩を挟んで黒船バンドが登場する第二部。閣下の曲やRXの曲などなどを、エレキ三味線(などというものがあることも驚き)をフィーチュアしてロックに演奏。木乃下真市さんの「パッション」だったか、めちゃくちゃかっこいいですよ。CD買わなきゃな。でも三味線の音ってやっぱり細くてベースとかドラムに埋もれがちですね。CDではどうなってるかなあ。
 全体に曲数は少なめだったが、終始和やかなノリで大変楽しいライヴだった。つうかトークで延びるだけ延びるこのノリはまさにソフトな聖飢魔II。そういえば聖飢魔IIの曲は聴けなかったが、そんなことは無関係に充実したイベントでした。これは毎場所行くべきですね。


HOME PAGE : のこぎりパパ