Comic Baton

 なんかid:htlvとかいう知らないおじさんからバトンが回ってきたよーと思ったら知ってるおじさんでした。お前かよ。いつの間にかはてなダイアリーを始めていたのですね。

  • 1. Total volume of comic on my Bookshelf

 飽きて売ったりしたのも多くどれを売ったのかももはやあまり覚えていないので正確な数は知りません。100冊か200冊か300冊ぐらいじゃないのかなあ多分。

  • 2. Comic thought to be interesting now

 林田球ドロヘドロ」がいいと思います。人が内臓晒して血みどろでばたばた死んでいく(内臓晒しても死なない人も多いけど)にもかかわらず、悪人不在のキャラ達のおかげでほのぼのコミカルに進行する愉快な漫画。絵も上手いしかっこいい、キャラも立ってる。ストーリーも意外とちゃんと練られてる。素晴らしい。

  • 3. The last comic I bought

 「夜刀の神つかい」が面白いので奥瀬サキの漫画などをブックオフとかで何冊か買ってみたのですがどれもいまいち。陳腐なくせにわかりづらい、設定いい加減で雰囲気しかない。やっぱり「夜刀の神つかい」が一番のようですよ。

  • 4. Five comic I read to a lot, or that mean a lot to me

 まずは、昔のアフタヌーンがいかに素晴らしかったかというお話になるかと思います。

 私の芸風に多大なる影響を与えてくれた、個人的に最強のギャグ漫画。10年ぐらい前、アフタヌーンの巻頭に掲載されていた青山野田赤山野田黄山野田(単行本では9巻に収録)に一発でやられた。頻出する下ネタもセンスが良いが、「闇雲なハイテンションと圧倒的な絵の巧さによってわけのわからない論理を無理やり納得させてしまう」系のギャグこそが天才的だと思う。1巻のリンゴとトマトとか、10巻の飛び降り自殺とか、最終話のアレとか。考えてみれば下ネタにしても、特に秀逸なものは煎じ詰めれば大抵それ系になる気がする。長官のちくわとか、ブリーフをはいているにもかかわらず…とか。ああ思い出すだけで笑えてきた。これに比べると、後の「スペース・ピンチー」のギャグはストレートな下ネタ主体で少し不満。充分以上に面白いけどね。

 「なるたる」のせいで陰惨で鬼畜なイメージが無闇に強い感のある作者だが、まあ鬼畜なのは確かに鬼畜であるとして、実のところ無駄の全くない精緻な構成と繊細な心理描写を得意とする、めちゃくちゃに上手い漫画描きである。この人の泣かせ方は本当に絶妙。「なるたる」があそこまで重く暗く印象に残るのも、10巻のアレがあそこまでおぞましいのも、その心理描写があってこそだ。絵も非常に上手い。顔の描き分けができていないとか言われがちであるが、まあ明らかに違う顔をいくつもデザインする、という意味では描き分けられてはいないと言えるものの、注意して見てみると各キャラの顔は僅かずつではあるがはっきりと違う。その微妙な違いを、キャラ同士混じらないよう最後まで描き分け続けているのだから大した画力である。でこの連作短編集「ヴァンデミエールの翼」、「なるたる」とは全然違っていたって爽やかな読後感。鬼畜でない(変態性はけっこう感じ取れるが)彼の叙情的漫画をストレートに味わえます。

 とりあえず、ペンだけで自然の感触を見事に伝える絵の巧さに息を呑む。そして奔放な想像力、幻視力。自然のその神秘の色さえも確かに感じさせてくれる至上の漫画。長らく絶版でプレミアがついたりもしていたが、最近になって復刊された。実にめでたい。「そらトびタマシイ」もグレイト。IKKI不定期連載の「魔女」も良いがこれは少し小難しい感じがしてとっつきにくいかも。


 この他にも「寄生獣」や「大日本天狗党絵詞」「BLAME!」などなど、往年のアフタヌーンは傑作を数々生み出してきた凄い漫画雑誌だったわけですが、それが今ときたら。編集長の交代ですか、ある時を境にいい漫画は打ち切りまくって代わりにくだらない漫画ばっかり連載を始めて、「スズキ」も終わってしまうし、まあ今も高品質の漫画は何本か確実に残ってはいますが、しょうもない萌え漫画とか、何の捻りもないアクション漫画とか、もうどうにもならない。私は「なるたる」終了と同時に見限ってIKKIに乗り換えました。


 この本に限らずほとんどの単行本が壮絶な傑作。猟奇的妄想の神。私も悪趣味な妄想は好きでよくしますが、彼の漫画を数本読んで「この人には一生かなわない」と悟りました。またその想像力は悪趣味領域のみに止まらないことは「万事快調」「かすとろ式」を読めば明らか。誰も彼には敵わない。突き抜けた暴走のわりには統制が取れた構成も実に見事。

 小汚い哀愁を描かせたら日本一。なんか安心していつまでも笑っていられる下品で平和な漫画世界。毎度余韻を残す終わり方も素晴らしい。

  • 5. Five people to whom I'm passing the baton

 とここで次の人にバトンを渡さなければならないらしいのだがあいにく私には友達がいないのである。まあ天才の宿命だから仕方がないというかそもそも友達などというものは私のような孤高の者には当然不要であるから良いというより宿命ですらないのだが、こういう時には少々困る。「こんなコトもあろうかと友達を作っておいてよかったわい」とか言ってみたかった不覚。
 というわけで指名する相手がいないので、誰かここをご覧の方、よかったら勝手にバトンを受け取って勝手に書いてみてやってください。面識などなくてもかまいません、どうぞご自由に「id:tawachiからバトンを受け取った」とか何とか言って漫画語りを行って下さい。ではごきげんよう