SATYRICON @ 渋谷・CLUB QUATTRO

 SATYRICONの1年半ぶり3回目の来日公演に行って来ましたよと。

 開場時間の18時をやや過ぎてクアトロに到着、律儀に階段に並んでいる人々を尻目にまずは様子見にと上まで行ってみると、既に自分の番号はとっくの昔に過ぎているようだったので慌てて入場。物販のTシャツはちょっと欲しかったけどやっぱいいや、とすっ飛ばし、あと「終演後にサイン会を行いまーす」とか言ってCDを売ろうとしてたのもちょっと迷ったけどやっぱいいやとパス(サインのためにCDとかいりませんし、余計なCD買ってサインもらったって持て余すだけだし、メンバーと対面してもどうせろくにしゃべれずに何こいつで終わるに決まってるし、いいんです)、ドリンクもらって最前付近に並ぶ。

 2chのSATYRICONスレなどを眺めていると「チケット買ったけど○番台だった。客ちゃんと入るのかな」といったレスが多かったので、そういえば単独で来るのは初めてだし若干客入りが心配ではあるなと不安に思っていたのだけど、30分もすると後方にはぎっちりと客が詰めかけていて、何だ杞憂かと胸をなで下ろす。あとやっぱり前方には女性客多い。この腐女子どもが!とは別に思ってませんけど。

 定刻の19時になっても始まる気配はなく、随分待たせる。いつまで経っても懐中電灯持ったローディが出てきてうろうろしてるだけで肝心のメンバーの姿はさっぱり現れない。周囲の観客の苛々も徐々に募り、意味のない叫び声やうんざりしたように不満をぶちまける大声が次第に増える。温厚な私も少々苛立ってきたが、前にいた客がひそひそと「X JAPANがどうの」「二時間待ちがどうの」と話しているのが漏れ聞こえてきて、ああそういやこんな程度、Xに比べたら可愛いもんだと思い直し泰然と構えることにする。

 19時30分頃になってようやく客電が落ちた時には焦らされた人々が歓喜の雄叫びと共に前方へ押し寄せてきた。イントロを挟んで一曲目は「Repined Bastard Nation」。新作のプロダクションに合わせたものかどうか(単に自分が前方にいるせいでバランスが悪いだけかも)、今回は随分とドラムが前に出た音作り。お陰様でフロスト様の激烈ドラミングが思いきり堪能できる。
 相変わらず全身覆い隠すほど馬鹿でかく要塞じみたドラムセットだが、脚ぐらいしか見えなかった前回・前々回とは違って今回は頭が出ていたのが嬉しい。頭ぐるんぐるん振り回しながら激速かつ正確無比に叩きまくる狂神みたいなフロスト様の叩きっぷりが格好良すぎてたまらん。
 同じくステージ後方に引っ込んでいるヨンナねえさん、こちらも頭振り要員っぷりは相変わらず。キーボードを弾く機会はますます減って(弾いててもほとんど聞こえない)、楽器なんてそっちのけでひたすら扇風機に次ぐ扇風機。ますます惚れざるを得ない。ただやたら露出が少ない格好だったのが今回ちょっと不満です。肩ぐらいサービスしてくれてもいいよね。
 そしてばっさり切った髪をぴっちりオールバックに撫でつけてスカした様子のサティアー、格好こそ普通の人に近づいたけれども、フロントマンとしての貫禄はますます増した印象。曲間にいちいち胸に手を当てて深々とお辞儀をする様子も柔和ながら威厳に溢れていて格好いい。
 全体としてのパフォーマンスも、サティアーのルックスの普通化と軌を一にするように黒っぽさが薄れ、普通のロックバンドに近づいてきた感じがあった。前回や前々回のように衣装やポーズを統一するようなこともなく、わりとラフ。しかし一方、「To The Mountains」のような曲での邪悪で荘重なムード作りはさすが。Dojoで来たMAYHEMのライヴとか思い出した。パフォーマーとしてのサティアーの実力、それにフロスト様のドロッドロのドラミングのおかげか。
 最後はもちろん「Fuel For Hatred」に「Mother North」で締め。「Mother North」の後半、走りまくるフロスト様のドラムには笑った。何百回とやってきているであろうこの曲で、ましてフロスト様がミスで走ってしまうなどということは考えられないのでわざとに違いなく、何百回とやってきたからこそのちょっとした悪戯というところか。他のメンバーが必死でついていっている様子が微笑ましかった。

 というわけでやはりSATYRICONは最高というお話でしたとさ。

HOME PAGE : 鈍ヒ羊