NAGLFAR「HARVEST」

tawachi2007-03-14

 スウェディッシュ・ブラック・メタラーの5作目。「徹底的に非人間的なアルバムにしたかった」という前作では疾走感は幾分抑えめ、ヴォーカルも類い希な激情ぶりを誇るイェンス・ライデンから、どちらかというと冷酷さが売りのクリストファー・オリヴィウスへと交替したこともあって、狙い通りの冷たさが醸成されていた反面ややパワー・ダウンした感があった。しかし今作ではドラムを前面に押し出して再び疾走感を強調。曲展開もむやみにいじくって起伏に富んだアルバムとなっている。もはやイェンスはいないので、メロディ自体にはあのやみくもな熱さのようなものはないのだが、そこにこの音像と曲展開が被せられることによって、ドラマ性というよりも一種破れかぶれな妙な爆発感が生まれているのが素晴らしい。結果として、以前の彼らと同等の勢いを取り戻している。
 あと毎度美しい彼らのジャケット、今回はトラヴィス・スミスが担当していてこれまた最高の仕上がり。


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