INSOMNIUM「ABOVE THE WEEPING WORLD」

tawachi2006-12-08

 フィンランドメロディック・デス・メタル・バンドの3rd。ある種馬鹿正直なまでに伝統に忠実というか、「これこそが真のメロディック・デスである」と言わんばかりの王道的メロデスをやっている。暑苦しいまでにドラマティックな曲展開、大仰というよりむしろ大袈裟なぐらいの泣きメロ、終始ハモりっぱなしのツイン・リード、さらに唐突気味のラストまでもが、あの最も熱かった90年代後半の北欧デスを忠実に再現している。したがって際立った個性というものは皆無だが(いや、今の時代にこれだけ「旧き良き」メロデスをやっていること自体、充分に個性的と言えるかもしれない。悪い意味でなく)、かといってフォロワー特有のユルさや甘さといったものも全くない。メロディやアレンジのひとつひとつに、かつての先達と同等の説得力がしっかりと備わっている。泣きにしろブルータリティにしろ、表層だけをなぞっているような最近のメタルコア勢(実際、メロデスのパクリにしか思えないバンドも多い)や、RHAPSODYあたりを通過した妙に軽薄な新興メロデス勢(デス声以外はメロスピ系)とは一線を画している。胸の熱くなる本物のメロディック・デスというものを久々に聴いた。