EVANESCENCE「THE OPEN DOOR」

tawachi2006-09-28

 アメリカのゴシックメタル・バンドの3年半ぶりの2nd。全世界的にバカ売れしたという1stはゴシックメタルの名盤といえる内容だったが、その後メイン・ソングライターだったベン・ムーディーが脱退。次のアルバムは一体どうなるのかと心配されたが、この新作では彼に代わってヴォーカリストのエイミーがほとんどの作曲を担当。意外な健闘を見せた。
 全体的には前作通りの方向性で、エイミーの柔らかい声による力強い歌唱を中心にピアノ、ストリングスなどの装飾が入った王道ゴシックメタル。ただし、エイミーが作った曲に後から新ギタリストのティム・マッコードがリフを足すという作曲方法のせいもあってか、曲の中心は基本的にヴォーカルとピアノであり、ギターの貢献度は前作と比べてかなり低め。加えて、いかにも後からギターを取って付けました的な雰囲気が多くの曲で感じられ、ヘヴィさが浮いた箇所があるのも残念で、だいいちそのリフ自体がつまらなく思えることも多い。ときにMY DYING BRIDEのパクリかと思わせた重厚なリフがないのは何とも心寂しいものがある。肝心のヴォーカル・メロディにしても、やや起伏に乏しく単調な印象。やはりベンが抜けた穴は容易に埋められるものではないか。
 とまあ前作と比較してしまうとどうしても欠点が目立ってしまうが、単体で見れば十分に美しいメロディ、劇的な展開が詰まったなかなかの力作なのには違いない。エイミーの歌声も勿論文句の付けようがない素晴らしいものである。少なくとも前作のファンを落胆させるような作品ではないし、これからの努力次第で前作を超えることも十分可能だと思う。


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