DARK TRANQUILLITY @ 代官山・UNIT

 昨日はDARK TRANQUILLITYの日本ツアー最終日に行ってきた。いやあ最高。

 開場時間には充分な余裕をもって恵比寿駅に着いたものの、UNITの地図をプリントアウトしてこなかったことに気づく。まあいいや行きゃわかるだろ、途中のコンビニとかで見ればいいしととりあえず代官山方面へ。しかし途中なかなかコンビニはなく、たまにあっても地図は置いておらず、街中に立ってる案内板を見てもUNITの表示はない。そのうちに代官山に着いてしまったがやはりUNIT本体はおろかその案内などもまったく見あたらない。何やら腐ったオサレ臭の漂うくだらねえ店ばかりが建ち並んでいてコンビニも本屋もないのでいらいらし問答無用で全員SATSUGAIしたくなる。しばらく当てのない彷徨をしていると開場時間が迫ってきて、しょうがないとタクシーに乗ろうとしたら運ちゃんUNITなんてわかんねえとのことでファック。半ば諦めの境地に達しつつむやみにうろうろ歩いていると交番があったので道を聞こうとしたが、ここにすら地図がない上警官もいない。仕事しろ糞ポリ。

 すると交番の前にきた兄ちゃんに声をかけられる。私の着ていたDISSECTIONのTシャツを指差し「もしかしてUNIT?」「そうそう全然わからなくて」ということで一緒に探すことに。ほどなく見つかったファミマで店員に尋ねると道を教えてもらえ、しかしその辺りに行ってもまだ見つからず一体どうなっているのかとひたすら不思議。でもものすごく注意深く探すとめちゃくちゃ目立たない風情の入り口がようやく見つかった。見るからにわかりづらく、こんなもん見つけるなと言わんばかりではないかと自分が地図を忘れてきたことを棚に上げて憤慨。まあともあれ間に合ってよかった。

 Tシャツを1枚(かっこいい! さすがニクラス!)買って中に入ると、拍子抜けするぐらい小さい会場にさらに拍子抜けするぐらい少ない客。最前に2列ばかり固まっている他は隅っこにちらほら座っている人がいるぐらいで大丈夫かと不安になる。100人いるかどうかというぐらい。とりあえず真ん中の前の方に突っ立って、かかっていたNILEを聴きながらぼけっと待つが、この間もなかなか後ろに客が来なくてどんどん心配になった。しかし30分ほども経つと客席もそこそこ埋まってきて、よくわからないが6〜7割は入ってるのかな?と思えるぐらいになって一安心。

 定刻を5分ほど過ぎてまずは前座のGALNERYUS。まったくのおまけ的な位置づけで、個人的には特に何の期待もしていなかったが、なんつうか愚直なまでのメロスピ一直線な音楽は極めてわかりやすく、結構のれて楽しい。演奏が突っ走り過ぎてわけがわからなくなる箇所もところどころあったがまあ全体的に下手ではないし、ギターはとにかくやたら上手くてびっくりした。でも音のバランスが良くなくて、ドラムの音なんかは不必要なぐらいデカいわりにキーボードがさっぱり聞こえない。たまーに漏れるように聞こえてくる音から判断する限り結構派手なことをやっているようだったのでもったいない。DARK TRANQUILLITYのときに七三のキーボードが聞こえなかったらどうしようと心配になった。それにしてもヴォーカルの人、MCでライヴの告知をするのに正確に覚えてたのが1つもないのには笑えたな。

 GALNERYUSは40分ばかり演奏して退場、しばらく時間を掛けてセットの交換。機材の配置がだいたい終わって出て来たローディのおっさん、一人でドラムもベースもギターもさらにヴォーカルまでも全ての音のチェックをこなし、最後にはビニール袋を持ってきて各メンバーの立ち位置に飲み物を配置しプルトップの蓋まで開けておくという八面六臂ぶりに客席から思わず笑いが。熱い。そんなに人手不足かよ。

 でついにDARK TRANQUILLITY登場。さて音は直ってるかなと思ったら、いやにスカスカで何の迫力もなし。GALNERYUSでは鬱陶しいぐらいの音圧だったのにこれは何。つうかギターの音が出てないのか? おいおいこれじゃあ乗れねえよと思いつつ押されるままに前に出て腕を振る。全然デスメタルじゃねえよこれ。キーボードがちゃんと聞こえるのだけはいいけどさ。と思ってるうちに数曲で音質は改善、「The New Build」の頃にはすっかり直った。ギターが片方聞こえづらかったりキーボードも要所以外さっぱりだったりするけどまあ許容範囲でしょう。心おきなく乗ることができた。

 1st以外の全アルバムから満遍なく組まれたセットリストはほぼ完璧。まあ良い曲を腐るほどを持っているバンドだからして、完璧なセットリストを作ることなど簡単なことではあるけれど、それにしても鼻血が出るほど名曲揃い。「The New Build」「Punish My Heaven」などの一撃必殺系悶絶疾走曲は勿論のこと、彼らの場合ミドル〜スロー・テンポの曲をそれよりさらに魅力的に聴かせることができるのが素晴らしいと思う。「Hedon」〜「Haven」の流れや「My Negation」はまさに鳥肌ものだった。また、来年4月に出る予定という新作からも1曲披露。最近のIN FLAMESみたいなゴリッとしたところのある曲だが(やはり意識せざるを得ないのですかね)、結局のところは彼ら一流の叙情デスでありやはり素晴らしい。新作には大いに期待が持てそう。

 メンバーのステージングも格好良かった。前座のGALNERYUSは、いかにも日本人なルックスとステージの狭さも相俟ってそこらの兄ちゃんな感じが抜けていなかったが、逆にDARK TRANQUILLITYはステージの狭さを感じさせない堂々としたパフォーマンスを見せてくれた。だいたいのメンバーの腹が可愛らしくぶよぶよと膨れていくのに反してただ一人スリムなモデル体型を保っているミカエルの存在感はやはり図抜けていて、フレンドリーなところを見せつつその動きは常にセクシー、思わず抱かれたくなるほどである。そしてそのミカエルにやたら華があるだけに、淡々と自分の楽器をこなすニクラスや七三の様子も余計に好ましく思えたり。

 客席もそんなこんなで多くはない人数ながら大盛り上がり。前にいた人がやたらとアクティブにヘッドバンギングをしていたのに釣られて私も思わずコメツキムシと化した。サーファーもむやみに出たし(だいたい同じ人が繰り返しやってたみたいだが)、モッシュピットも。ミカエルがすごく嬉しそうにその様子を見ていてその笑顔にこちらの胸もズキューンですよ。

 「お前ら最高、新作出たらまた来るぜ」と再会を約して彼らは去っていかれました。アンコールはなかったが、充実したパフォーマンスにメンバーの満足げな顔のおかげでこちらも充分に幸せ。もっと売れてもっと大きいところでやれるといいのにな。


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