IHSAHN「THE ADVERSARY」

tawachi2006-05-07

 かの偉大なるブラックメタル・バンドEMPERORの中心人物のひとり、イーサーンによる初のソロ・アルバム。ドラムと一部のヴォーカル以外は全部イーサーン自身がプレイしている。何となく奥方とのプロジェクトPECCATUMみたいな実験的な音楽を予想していたが、聴いてみるとこれがEMPERORの後を継ぐかのようなブラックメタル寄りの作品で、EMPERORの再結成作と言われても特に違和感もないぐらい。とはいえEMPERORという縛りがないせいか内容はよりバラエティに富んでおり、まんまEMPERORの4thアルバムを想起させる「Invocation」で始まったかと思えば、「Called By The Fire」や「Homecoming」みたいな正統的プログレメタルな曲があったり(特に後者はDREAM THEATERかと思うぐらい)、壮大でシアトリカルなゴシックメタル曲「Astera Ton Proinon」が入ってたり、また「And He Shall Walk In Empty Places」では後期EMPERORには却って珍しかったぐらいストレートに寒々しくブラストしてみたりと相当幅広い。そしてその間口の広さにかかわらず各曲の完成度は押し並べて無闇に高く、緻密で濃やかなアレンジ、展開の妙にはやはり彼は天才であると改めて驚嘆させられる。しかしこんなEMPEROR風味のアルバムを作られてしまうと再結成したというEMPERORの方が気になるところだが、どうなるんでしょうね。


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