一日一善

 近所のスーパーに関して一点気に入らないのは、魚売り場で数年前にヒットした例の糞みたいな歌を延々流し続けていることである(タイトルを書くのも忌々しいのだが、そもそもタイトルをよく知らず書こうにも書けないのだ。ああよかった)。こちらはイヤホンで好きな曲をそれなりのヴォリュームで聴いているのだが、それを突き抜ける音量であのうんこと同じぐらい下手くそな歌声が聞こえてくるのだからたまったものではない。曲がヒットしている最中なら気に入りはしないまでも納得はできなくもないが、こんなクソしょうもない何の取り柄もない駄曲をいつまで経っても流しているのは相当頭の悪い想像力皆無で完璧なまでに思考停止したお馬鹿さんであろう。もしこれが購買意欲をそそるだとかそういう考えでやっているのだとしたら、控えめに言ってもちょっと正気の沙汰ではない。何にしろ客を馬鹿にしているとしか思えない。死ね。
 というようなことをそのスーパーに行く度に考えていらいらしていたのだが、今日はついに腹に据えかねてラジカセの電源をブチ切ってやった。すると突如として立ち現れる平凡で平和な魚売り場の光景。ここの売り場ってこんなに爽やかで快適な空間だったのね。今まで幾度となく考えてはそれはさすがにまずいかと断念してきたラジカセ切断だが、実行してみるとこんなに素晴らしいことだったとは。よし、一日一善という立派な格言もあることだし、これからはこのスーパーに来たら毎回実行することにしよう。ああ今日はいいことしたぞ。


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