陰陽座「臥龍點睛」

tawachi2005-06-21

 意外にも「組曲義経』」三部作が丸ごと入って大ヴォリュームの6作目。「妖怪ヘヴィ・メタル」の名の下に幅広い音楽性を披露しているのは相変わらずだが、今回は全体的にリフの刻みが少なく、HMというよりもHR、歌メロ重視のポップな方向性に寄っているように感じられ、おどろおどろしい妖怪っぽさはほとんどない。それ自体は別にいいのだが、軽めの音作り(このバンドのアルバムはいつも音質がいまいちなのだが、今回はいつにも増して良くない気がする。特に平板なドラムの音には疑問が残る)のせいもあってかノリが悪く、どうも煮え切らない地味な印象のまま進行する。しかしそれも前半まで。後半、招鬼の手になるメロディアスな「月花」、黒猫が「陰陽師」以来久々に書いたメタル曲「蛟龍の巫女」(「陰陽師」と同じく、恥ずかしくなるほど大仰なメロディ展開で無闇に疾走するかっこいいスピード・メタル・チューン)、そして「組曲義経』」と畳み掛けるドラマティックさにはさすがと思わされる。改めて前半の曲もじっくり聴いてみれば良質のメロディを含んだ佳曲が多く(とりわけ「甲賀忍法帖」はやはり出色の出来)、安定した実力に支えられた水準以上のアルバムであるとは言える。ただこれまで以上にポップなのに少し違和感があるので、良さがわかるまでは今少し聴き込みが必要かも。


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