デーモン小暮閣下「LE MONDE DE DEMON」

　デーモン小暮、小暮伝衛門、そして![EXCLAMATION]の名義でこれまでに発表してきた5枚のソロ・アルバムからの抜粋+αで構成された初のベスト盤。聖飢魔IIの再集結（再結成、とは区別してるっぽいですね）に合わせたリリース攻勢の一つですかね。オリジナル・アルバムは全部持ってるし、ベストなら別に新譜で買うことはないか、とか思っていたのだが、新曲に既発曲のヴァージョン違い、ミュージカルの挿入歌など、+αの部分がなかなかに大きいっぽいのに惹かれて買ってしまいました。
　閣下のソロというと、邦楽（勿論日本古来の、の方）とHRを融合させた遊び心たっぷりの「好色萬声男」や「未来が過去を愛するとき」、様々なアーティストから曲の提供を受けた「DEMON AS BAD MAN」、ピコピコしてる「ASTRODYNAMICS」、シンフォニックで大仰な正統派HR作「SYMPHONIA」と、一作ごとに作風は大きく違う。そこから無理に寄せ集めなどしたらえらいごちゃごちゃなものになるのではないかと心配してしまうが、実際通して聴いてみると、しかしそんなことはなかった。二枚組という特性を活かし、端正な正統派の曲主体のDisk-1「阿」、邦楽テイスト多めのDisk-2「吽」とカラーを分けることで各ディスク内での整合性を上手く保っており、雑多な印象はほとんどない。「好色〜」「DEMON〜」「未来が〜」より余程よく纏まっているではないか（この纏まり具合には勿論、音質の改善・統一も大きく貢献している）。といって偏りすぎず適度なバランスを保っていて非常に流れはよい。オリジナル・アルバムではごちゃごちゃ感に埋もれ気味だった曲も、この流れの中で良さが再確認できたり。選曲もほぼ良いところを満遍なく押さえており（個人的に「HISTORIA」が入ってないのは残念だが）、閣下の音楽性の広さと質の高さを知るにはうってつけの好ベスト。それにしても邦楽維新ライヴ音源の「鬼」は凄まじい出来ですね。ハマり過ぎ。