害虫野郎

 最近また米に虫が付いているのを発見した。米びつの蓋を開けるといつも数ミリ程度の大きさの赤茶色をした楕円形の物体が米の表面に数匹いる。よく見てみると周りの床にも数匹いる。むかつくのでいつも一匹一匹拾い上げては指先で捻り潰す。ネットで調べてみたらコクヌストモドキだかヒラタコクヌストモドキだかいう奴らしいのだが、こいつらはコクゾウムシとかと違ってわりと柔らかく簡単に潰せる。そして潰すと中からいかにもクリーミーで無闇に蛋白質豊富な感じの白い半固形の液体がぷちゅっと飛び出しこれがまたむかつく。米を炊くときには一応計量カップから少しずつ落としてみていないかどうか探し、いたら潰して取り除いてはいるが、成虫がこれだけいるということはこれに数倍する数の幼虫がいるはずで、にもかかわらず米の中を探っても見あたらない。そうすると米に紛れやすい白っぽい色をしていて知らぬ間に食ってしまっているのかもしれない。米の間に挟まった白い芋虫は炊飯器内で加熱されると丸くなってますます米と見分けがつかなくなり、私はそうと知らずに米と一緒に口に運ぶ。幼虫は咀嚼され粉砕され中身の内臓が米と絡み合い混ざり合う。そのクリーミーな味わいにより普段より米が美味しく感じられたりして。米だけを食っていては炭水化物しか摂れないが、虫と一緒に食うことで蛋白質の補給も可能。あるいは炊飯以前に米を研いでいる最中に幼虫の粉砕は起きているかもしれないが、この場合は研ぎ汁に貴重な内臓液が溶出してしまって勿体ないな。いや、いっそ積極的に虫料理に乗り出してはどうか。醤油で煮てヒラタコクヌストモドキの佃煮とか、乾煎りして胡麻や海苔と混ぜてヒラタコクヌストモドキふりかけとか。あとヒラタコクヌストモドキのかき揚げとか。しかし小さい虫のことだからまとめて料理できるぐらいにするにはどれぐらいの数採集すれば良いのだろうか。むしろこのまま米を放置してヒラタコクヌストモドキを殖やしてやるか。米粒と食べかすと糞の混ざった粉の中で蠢く無数の黒い成虫と白い幼虫を掴み出してですね、鍋に放り込んで加熱すると悶え苦しみながら徐々に動かなくなる虫。もしくは米と虫の割合がちょうどいいくらいだったら、そのまま醤油と酒とみりんと昆布で味付けしてヒラタコクヌストモドキの炊き込みご飯とかでもいいですね。でもその場合は糞が邪魔かも。研ぐときに洗い落とせるかな。とか言ってるけど勿論冗談ですよ。本気でやるわけないじゃないですか嫌だなあ。