田中啓文「UMAハンター馬子 完全版2」

 完結して本当に良かった良かった。ハヤカワ万歳。伝奇、怪獣、下品、悪趣味、無数のアイディアの詰め込みに、駄洒落その他を駆使したそれらの無理矢理な繋ぎ合わせ、そしてどうしようもないオチ、というまさに田中啓文先生の王道的作品。骨格は至極正統的な物語は普通にめちゃくちゃ面白いが、怪獣映画へのオマージュ(パロディ)的クライマックスの最後に来るこのクソくだらない馬鹿オチ(最上級の褒め言葉)は「銀河を駈ける呪詛」と並ぶ最高の出来ではないか。前の「笑酔亭梅寿謎解噺」が真面目で真っ当な人情に溢れた普通の小説だったので、非常に面白く読めたもののなんとなく納得できなかったものだが、やはり田中先生に期待するものはこれですよ。伝奇学園の3巻も早く買わないとな。


HOME PAGE : のこぎりパパ