KAMELOT「THE BLACK HALO」

tawachi2005-02-15

 アメリカ産正統派メロディックHMバンドの2年ぶりの最新作。前作「EPICA」の物語を引き継いだ完結編というコンセプト・アルバム。元CONCEPTIONのシンガー、ロイ・カーンが加入した3rd「SIEGE PERILOUS」以降急成長、近作ではメロディ面の充実とともにプログレッシヴな側面を前面に押し出してきている彼らだが、今作はその傾向にさらに磨きがかかり、まずはそのあまりのドラマティックさに耳を奪われる。前作ではインタールードの挿入やアコースティック・パートの多用なんかのせいで少々全体的に薄められた印象があったが(もちろん些細なレベルであり前作は前作で傑作に違いなかったが)、今作では音楽そのもののさらなる充実によってそういった部分もより効果的に作用し、物語性を完璧に表現することに成功している。全くもって隙は微塵もない。プログレッシヴになった分即効性の魅力という点では減退している気もするが、その辺は個人的世界最高シンガーであるところのカーン様の神懸かり的とさえ言える歌唱が補って余りまくっている。全くこの様々な感情を込め色気を振りまきつつ押しつけがましさ皆無、高音では素晴らしい伸びを誇りながらどこまでも力強く芯が通り、それでいて野卑さを感じさせない気品のある柔らかいビロードのような質感の声といったら世界遺産でも足りないレベルですよ。CONCEPTION当時既にその悶絶度は世界トップクラスだったが、ここにきてこの劇的音楽の中でさらに活き活きとした輝きを放っている。あーたまらん。


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