本を買う

 今日買った本。
食卓にビールを〈2〉 (富士見ミステリー文庫)小林めぐみ食卓にビールを〈2〉 (富士見ミステリー文庫)
羽住都画集「透きとおる扉の向こう」羽住都画集「透きとおる扉の向こう」
 イラストレータ羽住都について。こういう絵を描く羽住都という人がいると最初にはっきり知ったのは高校の時、小林めぐみの「いかづちの剣〈1〉 (角川スニーカー文庫)」のイラストでだった。本屋で、おっ小林めぐみの新刊出てる、と一目表紙を見てびっくりした。物体の色とも光の色とも別の関係ない色がところどころ置かれていて、それが真珠かオパールめいて美しい。私がそれまで目にしたことのなかった色彩だった。誰だこれ、と思ったが、あとがきを読むと「これが都嬢の文庫デビュー」みたいなことが書いてあり、どうやら今のところただの新人のようで彼女のイラストがまとめて拝めるような画集などは出ていないらしい。しかしその「いかづちの剣」の口絵数点だけで私がはまるには充分で、しばらくの間彼女の色彩を目指して水彩画を描いてみたりもした。実はこの絵などはそうである。
 その後彼女の絵をあまり見かけないまま数年経ち、乙一の本などにイラストを描いているのを見てこんな人もいたなと思い出し、相変わらず綺麗だなと感嘆して、ふとホームページでもないかなと思いついて検索をかけてみた。ファンサイトがあって、作品が幾つか掲載されていた。そこに見覚えのある絵を発見した。「いかづちの剣」よりさらに前の記憶だ。中学から高校の途中まで買っていた「ザ・スニーカー」のイラストコンテストの絵。当時、応募者の名前までは意識して見ていなかったのだが、「塔のてっぺん」と題された絵とその他数点の作品は深く印象に残っていた。そうか、この人が羽住都だったのか。実は私、この人をデビュー前から知っていたのだと気づき、何やら幸せな気分になった。それが確か2年ほど前。
 現在の私は羽住都の絵がそこまで好きというわけではない。分析してみるに今の私は世界を作り上げているような絵が好みであり、勿論色彩も大事ではあるがそれは世界を美しく現出させるための道具に過ぎず、それよりはその世界が私の好みに合っているかどうかの方が重要なのだ。そしてやはり絵画というよりイラストであって世界よりキャラクター中心である彼女の作品は今の私の心のど真ん中というわけにはいかない。ただ本当にすごい色彩、素晴らしい絵であるとは思う。この画集を眺めていて、久々にまた水彩を描いてみたくなった。