愚かしい集団心理について

 某駅のホームで電車を待っていたときのこと。目的の電車が3ドアであるという表示を電光掲示板でちらりと確認し、「3扉乗車口」という足下表示のところに立って待つ。2、3メートル離れた隣には「4扉乗車口」で待っている女子高生がいるが、これは私の乗る1つ前の電車(これは4ドアのはず)でも待っているのでしょう。
 ところがその電車が行った後も依然として女子高生はそこに佇んでいる。きっと何か勘違いしているのだろうと思い放っておく。
 しかししばらくして見ると、乗客の群れが何故か女子高生の後ろにだけ一列に並んでおり、私の方には誰もいない。おっかしいなー俺ひょっとして掲示板見間違えた? 何か勘違いしているの俺の方? と不安になってくる。「こいつ一人だけ乗車口間違えてやんのぷぷぷ」とか思われているのだろうかむかつく。でもさっき確かに3ドアになってたよな、だいたい普通列車だから3ドアのはずだし、馬鹿はこいつらの方に決まっていると自分に言い聞かせて独り待つ。
 そして数分後ホームに侵入してきた列車は果たしてやはり3ドアで、きっちりと私の目の前にドアが停まる。馬鹿はてめえらだぜざまみろボケと心の中で快哉を叫びながら馬鹿に割り込まれぬようドアの寸前まで移動し、開扉と同時に車内に進入して扉脇の手すり付き座席を占領。慌てて移動してきた馬鹿の群れが右往左往するのを勝ち誇りながら眺める。車内が空いていて全員座れたのがちょっと残念。これが並んでいたうちの何割かが座れないような混み具合だったとしたら、例えばそのうち誰かが集団につられて4扉のところに並んだりせず正しく私の後についていれば座ることができたというような状況が考えられるわけで、そのことを悔しがる乗客の胸中を思いやってさらなる快感に浸ることができただろうにと思う。


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