NAGLFAR「PARIAH」

tawachi2005-09-23

 スウェーデンブラックメタル・バンド、今回は普段ほどは待たせず2年半ぶりのリリースとなる4thアルバム(まあ、前作は完成したのがレコード会社の都合で遅れまくっていたわけだから、実質的にはやはり長めのブランクだが)。前作までヴォーカルを務めていたイェンス・ライデンが脱退、ベーシストのクリストファーがヴォーカルを兼任するという形で制作されている。方向性としてはこれまでと同様、DISSECTIONMARDUK、DARK FUNERALらと同系の、暴虐でメロディアスという極めて真っ当なスウェディッシュ・ブラックメタル。今回は、ヴォーカルを取っているクリストファーの声が、前任者の悲壮さをなみなみと湛えた凄絶な絶叫と比べるとやや淡々とした非人間的で冷たい感じであること、また音質が軽くなっていることもあって、以前のような直情的な突進力が減じられ、それよりは邪悪さ、冷徹な残虐性が全面に出ているように感じられる。またリフやソロ・パートにおけるギター・メロディの質自体も、叙情性を排してより冷酷ないかにもブラックメタル的なものへと少し変わっている気がする。イェンスのソロ・プロジェクトのDEAD SILENT SLUMBERではかなりメロディアス寄りのブラックメタルを志向していたことを考えると、やはり今作での微妙な変化はイェンスの脱退によるものかとも思われる。勿論シーン屈指の実力者である彼らのことだから作品自体は充分以上に強烈なのだが、イェンスの抜けた穴はやはり結構大きいかも。