害虫野郎の巣

　害虫野郎の巣を発見した。米ではなかった。ヒラタコクヌストモドキが食害するのは主に粉の類であり米とは違うらしいので、もしかして連中の発生源は別にあるのではないかとふと思いつき、食料棚を捜索してみた。米の入っている段とは別の段を開けると、米の段よりも明らかに多くのヒラタ（略）の成虫がいるのが目に入る。奴らの巣はここにあるに違いないと思いその段を探ると素麺が入っているはずの紙箱が出てきて、もしやこれではないかと開けてみたら大当たり。箱の中にぎっしり詰まった素麺と、その表面をしきりに往復している無数の胡麻のような成虫。素麺は食い破られて穴だらけになり喰いかすと糞で粉まみれになっている。幼虫の姿は見えないが素麺の中の方にいるのであろう。奴らはここから湧いていたのだということに疑いはない。米の中をいくら探っても幼虫が発見できなかったのも当然で、ここから出た奴らが米の匂いに惹かれてやって来ただけだったのだ。念のためその他の素麺を格納してある缶の中を調べてみるとそこにも数匹のヒラタ（略）。ビニールで密封されている麺類は無事だが紙で包装されただけの素麺や冷麦にはやはり穴が空きそこからヒラタ（略）が出入りしている。そして缶の内部は粉だらけ。こうなってはもうしようがないので食害された素麺は全部捨て（ああもったいない）、周辺を掃除する。缶の裏側やその周りにある包みの裏側にはヒラタ（略）どもが這い回っていて（ゴキブリみたいに狭いところが好きなようだ）その喰いかすの粉が散らばっている。連中を一匹ずつ潰して捨て、棚の内側を拭き缶を洗う。これで奴らは一応粛清されたはず。一件落着めでたしめでたし。

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