今日の戦い

不快

　昼頃、学生部屋に入ると先輩がしきりに上を指さすので天井を見たらゴキブリが一匹這っていた。私の机の方に向かっている。殺虫剤を探してみるがとりあえずこの部屋には見つからないので、先輩にゴキブリを見張っておいてもらって隣室に借りに行く。隣にはアースジェットが置いてあって、「ハエ・カの退治に」みたいな文句が書いてあったのだが、効能を確かめると一応ゴキブリにも効くようだ。それを持って部屋に戻ると、ゴキブリは天井から部屋の隅の壁の方に移ったところだった。アースジェットの長い射程を活かそうとやや遠距離から毒霧を浴びせると、奴はそれを避けさっさと本棚の裏に逃げ込んだ。しまった。少しはかかっただろうがあの程度で殺せるかどうかはわからない。逃げ込まれてしまってはもう殺すことはできないかもしれないなと思いつつ、一応本棚の裏に殺虫剤をぶっかけておいた。で、しばらくすると奴が本棚の裏からまた壁をよじ登って出てくるのを発見。薬が効いているようで動きも覚束ない。作戦大成功。そこに再び直接殺虫剤を浴びせてやると、奴は本棚の上に落下してひっくり返った。これで後は放っておけば死ぬだろう。本棚の上には余った棚板が裏返しにして置いてあり、ちょうど柵のようになっているので奴がいくらじたばたもがいても落下してくる気遣いはない。で安心してパソコン作業を始めたのだが、しかしいつまで経っても奴ががさごそ暴れる音がうるさく、気になってしょうがない。覗いてみると、なんと奴はひっくり返った状態から復活しているではないか。触覚から脚の先まで埃まみれになり、さらにこの間のゴキブリと同じように尻から透明な液体をはみ出させて糸まで引いてはいるが、その状態で何とか棚板の端まで逃げて身を潜めている。もしかするとやはりあの殺虫剤は基本的に蠅や蚊用であり、ゴキブリには一時的にしか効かないのかもしれない。ここはひとつ物理的にとどめを刺してやった方が良かろう。ということでさっきラーメンを食った割り箸を持ってきて、それでゴリゴリと潰すことにした。やってみるとこれが意外に難しく、奴が暴れることもあって、体表の曲面をつるつる滑ってなかなかうまく潰せない。それでも徐々に端から粉砕していき、脚をもぎ取り、白いゲル状のものをはみ出させ、ようやく体の中央に割り箸を突き立てることに成功した。注意深くそのままゴミ箱に運んで捨て、あとちぎれた脚やはみ出たブツの掃除などをして今日の戦いは終了。良い試合であった。



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