断髪式

 長く伸びていた髪を切った。鬱陶しい髪型をどうにかするというのも勿論目的の1つではあったのだが、真の目的は別にある。つまり切り取られた髪の方の収穫である。もちろん人形に使うのだ。
 あまりにも周りから切れ切れと言われるし、自分としても視界が遮られて不便なので、いっそのこと丸刈りにしてやろうかみんな驚くだろうしと最初考えたのだが、すぐにどうせならこの髪を採取して人形に植えてやろうと思いついた。自分の髪を生やした人形なんていかにも怨念が籠もっていそうで素晴らしいではないか。私の死後人形の髪が伸びたりなんかしたらそれはもう人形者として望外の喜び。私は男だからして禿げてくるような可能性も大いにあり、やるなら今のうちにやっておいた方が良かろう。髪の退行が本格的になるまで、人形のためだけに髪を生やしては切るということを何度かやってもいいな。もしかして、自分の髪を人形に使っている人とかって結構いるのかな。
 そういうわけで、髪型なんぞはどうでも良く、とにかくできるだけ多くの髪を刈り取ることを目的として自分で髪を切ったので、髪型は結構えらいことになった。短髪自体相当久しぶりな上にこのひどい切り方だからもう違和感なんてものではない。鏡を見るたびに笑える。こんな髪型で人前に出るわけにはいかないので先日買っておいた帽子(実はそもそも今回の断髪後の防寒のために買ったのだ)を被りっぱなしにする。すると髪がいい感じに潰れて世にも奇妙な髪型になる。とても愉快。早いところ床屋にでも行って丸刈りにでもスキンヘッドにでもしよう。
 切り取った髪は一房ごとに凧糸で縛って保管。次の人形を作るのが楽しみだ。おそらく保存性としては人工のナイロン毛の方が良いのだろうけど、思い入れを込めに込めた人形を作ってやろう。



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