パスタ屋

 昔は美味しかったが最近味が落ちたというパスタ屋に行く。建物は立派でオサレで雰囲気は良いもののいろいろ行き届いていない感じで、一人しかいないウェイトレスは頼りなくて声が小さかったりセットのサラダを出し忘れたりテーブルを片づけても水滴が残ってたりするし、コップは傷だらけだし、料理の出てくる時間に差がありすぎるし、だいたい全体的に時間がかかりすぎだしでえらいことになっている。さらにパスタもまずく、麺はすぐ伸びてびろびろになるし、良い出汁の出そうな素材が大量に入っている割にその味がほとんどしないし、余計な食材を変な組み合わせで入れたりしているし、これなら私が作った方が余程美味しくできるのではないかと思う。昔はもっとサービスも味も良かったのにと聞くと何やら切ない気分になった。一体何があったのだろうか。私は二度と来ないだろうしこんな状態では潰れるのも時間の問題であろう。ところがまずいパスタを食い終わりデザートとドリンクが来るとそんな気分も一変した。ケーキを出して10分も経ってからパフェとコーヒー紅茶を持ってきたりして給仕は相変わらず情けないのだが、それらデザートとドリンクの内容がやけに充実していたのである。アイスもケーキも美味しいしコーヒー紅茶もちゃんと手間をかけている感じがする。1000円程度のパスタにこのデザートとドリンクさらにサラダのセットがプラス500円というのが信じられない。この手間のかかりようを見るとあの頼りなげな少人数のスタッフをたった500円でこき使っているのがいじめのようで申し訳なくさえ感じられ、どちらかというとパスタが500円でセットの方が1000円と考えた方が納得がいく。普通こういう店ってパスタは美味しいけどデザートはへちょいことの方が多いような気がするのだが全く逆だから面白い。まずいパスタもショックだったがその後予想外に美味しいデザートが出てきてダブルショック。いっそパスタをやめてサンドイッチとかにして普通の喫茶店にした方が良いのではなかろうか。変なの。