SENTENCED「COFFIN: THE COMPLETE DISCOGRAPHY」

「一人3枚(冊)は買おう!」というのは作家やバンドが作品を発表したときに後書きやラジオ等で使われるお決まりのネタですが、私の場合、ことSENTENCEDに関してはこれが冗談でもなんでもなく、本当にだいたいそれぐらい持っているのですから大したものです。もっとも最近ではレコード会社側もジャケ違いやらボーナス違いを乱発して本当に一人3枚ずつぐらい買わせにかかってきたりしますが。

・SHADOWS OF THE PAST:日本盤、2008年再発盤
・NORTH FROM HERE:日本盤、2008年再発盤
・THE TROOPER:「LOVE & DEATH」日本盤ボーナス、「NORTH FROM HERE」再発盤ボーナス
・AMOK:日本盤、「AMOK / LOVE & DEATH」カップリング再発盤
・LOVE & DEATH:日本盤、「AMOK / LOVE & DEATH」カップリング再発盤
・DOWN:日本盤、2007年再発盤
・FROZEN:日本盤、限定金色デジパック、2007年再発盤
・CRIMSON:日本盤、2007年再発盤
・THE COLD WHITE LIGHT:日本盤
・THE FUNERAL ALBUM:日本盤、輸入盤
・BURIED ALIVE:日本盤

 もともと持っていた以上のラインナップに今回、新たにこのような凶悪なブツが加わりました。

SENTENCED - Coffin: The Complete Discography
http://www.amazon.co.jp/dp/B002RX6V42/

 SENTENCEDの初期デモ音源を含む全作品が棺型のケースにまとめて収められた、たいへん貴重かつ豪華なボックスセットです。全世界4000個限定生産、シリアルナンバー入り。これを購入することにより、我が家のSENTENCEDのカタログはおおむね3枚ずつ揃うこととなるのです。「FROZEN」に至ってはなんと4枚。これはLACRIMOSAの「LICHTJAHRE」を無駄に何度も買ってしまった記録と並びますが、結果的に意味のない買い物となった「LICHTJAHRE」とは違い、こちらは全ての購入に必然性があるという点で勝っていると言えましょう。

 2005年5月、解散声明とともに「THE FUNERAL ALBUM」を発表、同年秋には最後のライヴを行い、翌年にはその解散ライヴの模様を収録した「BURIED ALIVE」のリリースをもって、永遠の眠りについたSENTENCED。再結成は決してないと明言されてはいたものの、ファンは一縷の望みを捨てられませんでしたし、またそれとは別に、その後のメンバーの動向も大いに注目されるところでした。しかし今年の初め、メイン・コンポーザーであったリード・ギタリストのミーカ・テンクラが亡くなってしまいます。これは全世界のファンにとって、たいへん大きな損失でした。SENTENCED再結成の可能性がこれで完全に失われただけでなく、彼が生きていればきっと紡ぎだしていたであろう珠玉の楽曲群を、ついに聴くことが叶わなくなってしまったのです。

 さて、恨むべきは長らく日本でのリリースを担当していたビクターです。バンドとしては来たがってはいたようですし(インタビューでの発言がリップサービスでないとするならばですが)、何より日本のファンも熱烈に待ち望んでいたはずなのに、あの呪わしい糞レコード会社のゴミ担当野郎のせいで、彼らの来日は叶いませんでした。しかも契約が切れたか何か知りませんが、ラストアルバムの日本発売も覚束なかったとか。これについてはマーキーが輸入盤よりだいぶ遅れながらもボーナストラック付きでなんとか発売してくれましたが、ともあれビクターのクズのことはいくら恨んでも恨みきれません。今頃苦しんで死んでいたらどんなにか良いでしょう。
 噂ではそこのクズ野郎、単にこのバンドがあまり好きではなかったために熱心に呼ぶことをしなかったようです。KAMELOTにしてもビクターを離れた途端に来日が決まり、しかも客入りはなかなかのものだったわけですから、ビクターの野郎がいかにバカで頭すっからかんでまともな仕事をしていないかわかろうというものです。
 だいたいビクターは昔の仕事を考えても杜撰に過ぎます。「AMOK」のボーナストラックの入れ方は何だよあれ。貴重でもなんでもない、普通に発売されている「LOVE & DEATH」から2曲適当に引っこ抜いてきて、しかも「AMOK」のアルバムの途中に流れをぶち壊して挿入とか。でもって「LOVE & DEATH」の方もそれはそれで日本盤発売とか。そういえばDISSECTIONにしたって、「WHERE DEAD ANGELS LIE」(これも結局日本盤も出ました)に入ってる曲を申し訳みたいに1stのボーナストラックにしてましたね。何を考えているのか。頭の出来が壮絶におかしいんじゃないでしょうか。
 メロデス黎明期でいろんなバンドが頭角をめきめき現しかけていた当時、ビクターは有望なバンドの作品をいくつもリリースしていてなかなか偉いと思っていたのですが、どうやらメロデスブームに目を付けただけで、中身の音楽のなんたるかは1ミリも理解していなかったようですね。こんな汚物はさっさと消毒したいものです。

 そこへもってきて今回の「Coffin」です。これはSENTENCEDという偉大なバンドの業績を一身に凝縮したファン必携のアイテムであることは勿論ですが、それとは別にもう一つ大きな意味があります。上に挙げた我が家のSENTENCEDコレクションの中で「THE COLD WHITE LIGHT」だけ、これまでビクター盤しか持っていなかったのです。つまり、ここにボックスセットからの「THE COLD WHITE LIGHT」が加わることによって、我が家のCDラックのSENTENCEDコーナーからあの忌まわしいビクターのマークを一掃することができるのです。我が愛するSENTENCEDが憎むべきビクターにいつまでも汚されているところなど見たくはありませんから、これは快挙であります。死ね! ビクター死ね!

 というわけで、このボックスの発売を知った時には一も二もなく速攻でアマゾンへ注文を入れました。これで新品の輸入盤が10枚ほども買えてしまう高額商品ですが、信者である私には買う以外に選択の余地などあろうはずもありません。新しい音源など大して入っているわけもないにもかかわらず、首を長くして発売を待ち望みました。もともと17日あたりに発売のはずだったのが一週間ほど延びるとメールが来たり、その延びた発売日になってもまだ発送されなかったりするのにいらいらさせられます。そして今日届いた朗報は、アマゾンではなくディスクユニオンからでした。昼頃にメールで届いた新入荷情報にSENTENCEDの文字があったのです。

SENTENCED/Coffin-The Complete Discography(10,290円)

 アマゾンより早い! しかもずっと安い! 小躍りした私は早速アマゾンの注文をキャンセルし、お茶の水へとチャリを走らせました。
 が、メタル館に到着して3階に上がり、息を切らせながら棚をチェックしても、それらしきものは見当たりません。新入荷の棚にも、SENTENCEDのコーナーにもありません。まだ棚に並んでないのかと思い、店員さんに聞いてみます。
「取り置き分で完売になってしまいまして。もう一度発注はしてあるんですけども……」
 なんてこった、そんな裏技があったとは。じゃあ新宿のメタル館はどうか、と思い確認の電話を入れてもらいましたが、そこも取り置き分で終了らしい。絶望だ。再入荷もしくはアマゾンを待たなきゃならんのか。
 がっくり肩を落とす私に店員さん、「千葉の方の店舗でも1つずつ入荷していてもしかすると残ってるかもしれないので、確認しましょうか?」
 千葉の店舗というのは柏店と千葉店だそう。望みは薄いと知りながら、一応電話を入れてもらいます。店員さんの電話している様子をうかがいながらじりじり待つこと数分。まずは柏店、申し訳なさそうな表情を見て、答えは聞く前に知れました。残念。次に千葉店、さっきより長く待たされます。店員さんをガン見していると、さっきから眉根の寄っていた表情が不意に緩みました。おお、これはもしかして……! 戻ってきた店員さん、まだあったので取り置きしてもらうとの旨を嬉しそうに伝えてくれました。きゃっほう! ありがとう!
 おそらく普通に取り置きで手に入れる人たちよりは幾分か嬉しい気分でほくほくしながらそのまま総武線に乗り、千葉へ向かいました。ちょっと時間はかかりますが、それがまた幸せ。そう、もはや遠い昔、欲しい新譜が出る度にCD屋へ買いに急いだあの時の高揚感です。こんな感情を思い出させてくれるとは。この感情を自分がまだ忘れていなかったことも嬉しい。俺はまだまだ純真で若いのだ。
 そして1時間後、大きな袋入りの落花生を売っているのがいかにも千葉だなあと感慨を抱きながら千葉駅構内を通り過ぎ、ディスクユニオン千葉店で無事にSENTENCEDの棺桶を手にすることができました。ずっしりした重みと大きさに彼らの偉業を感じながら、幸せに帰途につきましたとさ。SENTENCEDの音楽は永遠になんとやらです!


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